借り上げ社宅の明渡しの事例

概要

 東京都港区内の住宅街に所在する、古い木造アパートの事例です。

 家主は、2007年4月から、アパート2階の一室(約20㎡)を住居として貸していました。相手は会社で、近隣で飲食店を経営していました。

 いわゆる借り上げ社宅であり、飲食店の従業員が利用していました。

 しかし、2011年ころまでに当該従業員は会社を辞めたらしく、支払は入居者が直接支払うようになっていました。そして2011年後半以降、家賃滞納が発生したほか、入居者が大きな音で音楽をかけるなどするため、騒音が問題であるとして、退去を求めることになりました。

賃貸借契約

地域東京都港区
家賃60,000円
状況2ヶ月分滞納。騒音等の迷惑行為あり
備考法人契約(賃借人はA社)。従業員Bが入居。Bは入居中にA社を退職。

経緯

2011年11月06日家主自ら、入居者に対し、滞納・騒音等を理由に退去通知を発送
2012年06月05日ご来所・ご相談・ご契約
明渡しに向け、交渉開始
2012年06月末借家人(A社)と合意解除
2012年07月10日入居者Bに対し、弁護士による退去通知
提訴準備(印紙発注・切手準備・訴状等作成・証拠書類等準備・住民票等確認)
2012年08月24日東京地裁にBを相手に提訴
2012年10月04日第一回口頭弁論期日(B不出頭)、審理終了
2012年10月11日判決言渡し
明渡し強制執行準備
(切手等準備・申立書等作成・添付書類等準備・送達証明取得・執行文付与など)
動産執行準備(同上)
2012年12月19日東京地裁執行官室宛てに明渡し強制執行申立て
併せて動産執行も申立て
2013年01月09日1回目の強制執行(催告期日)
同時に動産執行も行う
2013年01月24日2回目の強制執行(断行期日)
明渡し完了

ポイント

 滞納に加えて迷惑行為(騒音)があり、契約の解除自体は認められやすい事例です。

 本件は、いわゆる借上げ社宅であり、借家人(会社)と入居者(従業員)が異なることが特徴でした。

 転貸の一形態ともいえます。転貸のように当事者が通常と異なる場合、訴訟を起こすときに、誰を相手にするのか、どのような法的根拠で退去を求めるのか(所有権に基づく請求か、賃貸借契約に基づく請求か、など)は注意して選択しなければ、目的が達成できないことがあります。

 この事例では、弁護士による連絡に速やかに借家人(会社)が対応し、合意解除等がなされ、相手が無権原で専有しているとして、所有権に基づく請求を行いました。

 結果的に、裁判もすぐに終了し、また入居者も(多少の残置物はありましたが)任意に退去することとなりました。 

弁護士の活動・費用

解決までの期間明渡しまで相談から半年
回収金額0円(明渡しのみ)
弁護士費用54万円
(訴訟着手108,000円、明渡着手108,000円、明渡報酬216,000円、動産執行着手108,000円)
実費201,965円(実費60,950円、執行補助者費用(催告・断行)135,450円、保管品処分費用5,565円)

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