2018.9.19更新

平成12年8月22日 大阪高裁判決

経緯

平成8年3月賃貸契約を締結
平成10年7月末借家人が建物明渡し、契約終了(当初の契約通り)
平成10年9月ころ借家人が敷金の返還を求めて家主を提訴
契約内容

所在地:大阪府豊中市
用途 :住居(マンション)
家賃 :月額12万5000円
敷金:37万5000円
期間:平成8年3月18日から平成10年7月30日まで(双方異議ない場合は1年更新)
特約等:
①契約書
「借家人の費用をもって契約時の原状に復旧させ、明渡」す旨の記載
②覚書
「契約書の条項により、契約時の状態に復旧させるため、クロス、建具、畳、フロア等の張替費用及び設備器具の修理代金を実費にて清算される」旨の記載
③借家人に交付されたビニール袋内にあった確認覚書事項という書面
修理費用等に関し、本物件のような「2LDKの物件では通常30万円から60万円程度を要する」旨の記載

裁判所の判断

原状回復の範囲・対象について
借家人は通常使用の限度を超える方法(例えば畳をナイフで切った場合)により損耗させたときは、その復旧費用を負担する必要あり。
経年劣化・日焼け・通常使用による減価分を借家人に負担させることはできない。


特約の有効性について
特約は借家人の一般的な原状回復義務を規定したものとしか読めない。
確認覚書事項については借家人により同意されたものではなく、存在だけで特約があったとすることはできない。

結論 : 相殺不可(通常損耗にかかる原状回復費用は負担しなくてよい)

ポイント

通常損耗は原則として家主が負担するものとして、借家人に有利に判断されました。
通常損耗も借家人に負担させる場合、契約条項で明確に定め、借家人の承諾を得て契約をする必要があることを示した例の一つです。