2018.9.27更新

平成12年3月23日 東京高裁判決 

経緯

不明賃貸契約締結
昭和63年~平成8年ころ家主が、建物を取り壊し、高級マンションの建築を計画
貸し出している全8世帯の借家人の立退き交渉開始
平成10年ころ土地の有効活用、建物老朽化による建替えの必要性を理由に本件借家人に解約の申入れ
平成11年ころ家主から契約の終了を理由に立退料200万円の提供とともに明渡請求(提訴)をした
借家人は自らの建物使用の必要性と正当事由がないことを主張(この時点で築40年が経過)

第1審は200万円の支払と引換えに明渡しを認容
借家人が控訴
契約内容

所在地:東京都港区赤坂の高級住宅地
用途 :住居(共同住宅)
期間 :平成10年6月1日賃貸契約終了
築年数:昭和34年頃(築後40年経過。老朽化が進んでいる)
構造 :木造建物(全8戸)
立退料:事前に家主から200万円の申出

裁判所の判断

家主・借家人の事情について
築40年を経過していること及び立地条件からすると家主が改築計画を持つことには十分な合理性がある。
一方で借家人の必要性は住居の利用目的のみという事情がある。


立退料の算定基準について
立退料は引越費用の他、移転実費と転居後の家賃と現家賃の差額の1、2年程度の範囲内の金額で足り、高額な敷地権価格と僅かな建物価格の合計額を基に算出されるいわゆる借家権価格による立退料算定は相当でない。


解約申入れについての判断
立退料200万円は借家人が本件建物より高額な賃料の住居に移転するために当面必要な資金として十分であり、正当事由を補完、解約申入れには正当事由がある。

結論 : 建物明渡し(立退料200万円)

ポイント

建物の老朽化(築40年)や土地の有効利用(建替)の必要性・合理性を前提に、立退料について、借家権価格ではなく、移転実費や家賃の差額という、現実に必要となる額から計算した事例です。
借家権価格は必ずしも明確な基準ではなく、また移転費用とは別にこれを要するとする理論的根拠も不明確ですので、妥当な考え方と思われます。。
老朽化による立退きは今後も増えると思われますので、参考となる判例です。