CASE STUDIES
解決事例
滞納分の分割払いを合意したものの、滞納が継続し、結局は退去に至った事例
公開日:
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概要
・家主としては、賃貸需要があまりない地域のため、多少の滞納には寛容な考え
・9ヶ月の滞納を放置できず依頼、提訴
・裁判上で借家人に懇願され分割払いの和解を締結。また、賃貸借の継続は認めるも、定期建物賃貸借及び1度の滞納で解除という条件付きのものに変更
・再度滞納が始まり、結局、解除して強制執行、明渡し、という流れに -
対応
・依頼から一週間程度で借家人に催告・解除通知。その一週間後には提訴
・初回期日で和解成立。ほどなく定期建物賃貸借契約を締結
・滞納確認後すぐに借家人に問合せ。速やかに入金をさせた
・再度の滞納を確認後、すぐに解除通知。速やかに強制執行を申立てた -
ポイント
・経験上、入居者から滞納分の分割支払を提案されて合意しても、約束通り払われることはない
・少なくとも滞納に至った理由が解消していなければ、分割支払はほぼ100%滞る
・これまで反応がなかった借家人から反応があったということだけで安心してはいけない
概要
滞納分の分割払いを認めた後の再度の滞納による明渡し
本件は、北海道函館市の賃貸住宅の事例です。家主は東京近郊に在住し、函館市内に所有する建物を住居として貸していました。
借家人が家賃を滞納し、一度は家主との間で滞納家賃の分割払いの合意に至りました。
しかし、結局は再び滞納が始まり、契約解除及び明渡しに至った事例です。
賃貸借契約
| 地域 | 北海道函館市 |
|---|---|
| 家賃 | 35,000円 |
| 状況 | 36万円滞納(約9ヶ月分) |
| 備考 | 連帯保証人あり(借家人の実妹。ただし見るべき資産なし) |
経緯
| 2020年01月31日 | 家賃の支払が遅れ始める |
|---|---|
| 2020年10月04日 | 他の法律事務所にて弁護士介在の下、滞納額等の確認書を取得 (返済計画などの詳細な取り決めがなく、結果的に支払も反応もなし) |
| 2020年10月22日 | ご相談 回収・明渡しについてご契約 |
| 2020年10月30日 | 借家人及び連帯保証人に内容証明郵便を発送(催告) 提訴準備(印紙発注・切手準備・訴状等作成・証拠書類等準備・住民票等確認) |
| 2020年11月06日 | 函館地裁に借家人・連帯保証人ともに提訴 |
| 2020年12月08日 | 借家人から答弁書提出 滞納分について認め、毎月1万円以上を家賃に上乗せして支払う旨の和解案あり |
| 2021年01月13日 | 第一回口頭弁論期日(両者出頭) 和解成立 (1度の滞納で解除する条項。なお、入居は継続。もっとも賃貸借契約は見直し) |
| 2021年02月18日 | 定期借家賃貸借契約を締結 |
| 2021年04月06日 | 滞納を確認。借家人に問合せたところすぐに入金あり |
| 2021年05月19日 | 再び滞納を確認(2ヶ月連続) 内容証明にて解除通知 |
| 2021年06月04日 | 函館地裁執行官室に強制執行申立て |
| 2021年06月28日 | 強制執行期日(催告) 借家人本人立会い。7/21の断行までの任意退去を要請する(口頭) |
| 2021年07月20日 | 借家人から家財道具ほか一式撤去後の室内写真の提供あり 強制執行の取下げ→任意退去 |
| 2021年07月21日 | 現地にて退去立会。合鍵の回収・所有権放棄書の受領。明渡し完了 |
概要及び経過
滞納への対応が寛容になりすぎると・・・
物件の所在地が、賃貸需要の必ずしも大きくない地域であったため、家主は空室となるよりは、家賃支払があった方がよいという考えで、多少の滞納には寛容でした。
そのような中で、滞納額が増額していきました。
一度、ほかの事務所の弁護士により、滞納分の分割払いの合意に至りましたが、結局、毎月の家賃も十分には払われず、連絡が途絶えてしまいました。そこで、当事務所への相談となりました。
当事務所の対応
迅速かつ臨機応変に対応
ご依頼後、すぐに全額を求めて内容証明郵便を送付し、入金期限後に提訴しました。
内容証明には反応がなかったものの、裁判所に提出された答弁書には、滞納分について認め、毎月1万円以上を上乗せして支払う旨の記載がありました。
経験上、入居者から滞納分の分割支払を提案されて合意しても、約束通り払われることはありません。少なくとも滞納に至った理由が解消していなければ、分割支払はほぼ100%滞ることとなります。これは裁判前の交渉でも裁判中の和解でも同じです。
本件でも家主にその旨説明しましたが、家主は「これまで無反応だった借家人が提案してきたことだから」と借家人の意思を尊重し、借家人の分割支払を受け入れる和解をすることになりました。
和解においては、家賃又は分割支払のどちらかでも一度でも滞った場合は、裁判せずに強制明渡しとなる文言を入れました。
もっとも、果たせるかな、和解から3ヶ月後、滞納が生じました。
借家人に連絡するとすぐに支払ってきましたが、結局、翌月も滞納したことから、さすがの家主も継続を断念し、明渡しを求める方針となりました。
この期に及んで連絡がたまにつかないなど、不確定な要素があったため、明渡しの強制執行手続により、退去が実現しました。
ポイント
毎月の家賃も支払えない借家人がそれ以上を支払うことはできない
家賃は、生活費の中でも、一般的に優先順位の高い支出です。
これを滞納するということは、生活上、収支のバランスが崩れていることがほとんどです。したがって、毎月の家賃すら払えない人が、家賃に少額でも分割金を上乗せして払うことはまずできません。
家主としては、未納分をなんとしても回収したい、空室にしたくない、などの理由で、分割払いの合意に期待したくなります。
しかし、結局は滞納額の増大により損害が拡大するだけの結果に終わります。
他に空室があって退去させるメリットがない、などの特別な場合を除き、滞納分を分割払いにする合意は望ましくないことが多いです。不安な方は、是非一度ご相談ください。
弁護士の活動・費用
| 解決までの期間 | 明渡しまで相談から8ヶ月(和解までは2ヶ月) |
|---|---|
| 弁護士費用 | 517,000円 (内容証明1.1万円×2、訴訟着手11万円、明渡着手11万円、明渡報酬22万円、賃貸借契約書作成・立会5.5万円) |
| 実費 | 201,857円 (実費143,183円、強制執行費用(取下げまで)58,674円) ※強制執行(断行)の業者費用の見積もりは撤去・処分費用を除き105,380円でした。 |
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