CASE STUDIES
解決事例
任意に退去合意が成立し、訴え提起前の和解を利用して退去を実現した事例
公開日:
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概要
本件は豊島区内のマンション一室の明渡し例です。
たびたび滞納するものの、家主が請求すると支払ってくるという相手でした。滞納額がどんどん増大するということはありませんが、家主から何度も連絡したり催促したりする必要があり、その負担は小さくありません。
滞納額が2か月から3か月程度で増えたり減ったりする場合、契約解除および強制明渡しは、確実とまではいえません。
しかし、これを反対に滞納する側からみた場合、解除によって退去となるリスクは無視できません。裁判により強制退去となると、ペナルティ(損害金)の支払義務を負う可能性もあります。
そこで、少し退去時期までに長めの期間を設けることで、双方が不安要素を取り除き、納得できる合意に達する場合があります。
本件は、相手と交渉して半年程度先までは居住するがその後退去するという合意に達しました。その退去の約束を担保すべく「訴え提起前の和解」により退去を確実にした事例です。
賃貸借契約
| 地域 | 豊島区 |
|---|---|
| 家賃 | 121,000円/月 |
| 状況 | 相談時3ヶ月分滞納 2~3ヶ月遅れては後からまとめて支払があり、滞納分が解消される、という状況が継続 |
| 備考 | 毎月のように遅れる旨の連絡があり、支払日がバラバラ |
経緯
| 2022年07月31日 | 滞納がちになる 以降、慢性的な滞納状態が続く(1~4ヶ月分) |
|---|---|
| 2023年11月01日 | ご相談・ご依頼 借家人宛に内容証明郵便を発送(催告及び解除通知) |
| 2023年11月06日 | 借家人が代理人事務所来所 相手と交渉し、当事務所から解除による退去義務を説明し、一定期間経過後の退去を提案。 借家人と合意に達したため、「訴え提起前の和解」の手続をとることを伝え、協力を求める。 |
| 2023年11月21日 | 東京簡裁に訴え提起前の和解申立て |
| 2024年01月17日 | 和解期日(当事務所弁護士と借家人が出頭) 和解成立(2024年7月末を退去期限。滞納分は分割) →毎月の分割払いはやや遅れつつもほぼ支払われた |
| 2024年06月03日 | この日以降、7月末退去について日程調整等を行う。 相手から延長できないかとの相談があるも、家主は応じられないと回答 |
| 2024年07月30日 | 借家人直接来所 退去について再度確認するも、借家人は少し延長してもらいたいと要望 |
| 2024年08月07日 | 東京地裁執行官室に建物明渡強制執行の申立て |
| 2024年09月05日 | 催告期日(借家人在宅) |
| 2024年09月06日 | 任意退去確認 明渡し完了 強制執行取下げ |
| 2024年12月24日 | 滞納分全額完済 |
概要及び経過
滞納が常態化し、すぐに払うと言いつつも毎回遅れる
借家人は高齢の夫婦でした。家主から相談を受けた際は滞納が3ヶ月で、間もなく4ヶ月に蓄積する状況でした。
もっとも、請求すると支払いがあり、滞納分が解消したりしなかったりという状況が慢性的に継続しているとのことでした。
自主管理をしていた家主がその管理に負担を感じて当事務所に相談に見えました。
当事務所の対応
解除による強制退去ではなく、合意による退去も要検討
滞納額が1~2ヶ月にとどまる状況では、仮に裁判を起こしても裁判所が明渡しを認めない可能性があります。
そこで、やや結論が不明確な通常の裁判ではなく、退去期間を少し先にすることで相手にも猶予を与えて合意による解除をすることが有効な場合があります。
こうすることで双方が、裁判という不確定な手続きに時間と費用をかけるのを避けることができます。
当事務所では借家人と話をした結果、このような合意が可能と考えたため、訴訟によらずに退去の合意をする方針としました。
そして、合意の確実な履行には、簡易裁判所の「訴え提起前の和解」という手続きが有効です。
これは、裁判をせずに、ただし裁判所の関与のもと和解をするもので、その結果得られる和解調書は判決相当の強力な強制力を有する、というものです。
この手続により無事に退去の合意が成立したため、その後、退去時期を延ばしてほしいという借家人に対しても、それを拒んで退去を強制することができます。
その後、滞納分についも全額回収することができました。
ポイント
訴訟によらない退去合意とその強制力の確保
滞納が増大する場合も問題ですが、滞納分がそこまでではないものの毎月督促等が必要となると、それはそれで家主の負担は大きく問題です。
このようなときは、借家人と連絡を取って、相手の希望も考慮して解決策を測ることが有効です。
本件では、相手が半年程度先であれば退去可能という希望があったので、それを受け入れて和解しました。
もっとも、相手は毎月のように家賃が遅れていた状況であり、本当に約束を守るかはわかりませんでした。
このようなときは、訴え提起前の和解を利用するなどして、強制力を持たせることができます。
ただ合意書や覚書にサインをもらっても、実際に追い出すには別途裁判が必要です。
訴え提起前の和解は、この合意内容について、いわば裁判所のお墨付きをもらい、判決と同様に強制執行することを認めてもらう裁判手続きです。
借家人の合意、協力が必要ですが、本件のように、約束はするものの後から守らない可能性が高い相手には、有効な手段の一つです。
弁護士の活動・費用
| 解決までの期間 | 明渡しまで相談から10ヶ月 全額回収まで相談から13ヶ月 回収金額 171万3225円(全額) |
|---|---|
| 弁護士費用 | 83万8909円 (内訳) 回収分の22% 明渡報酬22万円 訴え提起前の和解申立手数料11万円 内容証明手数料1.1万円 強制執行申立手数料11万円 現地立会日当1.1万円 |
| 実費 | 10万1112円 (内訳) 77,074円(住民票・登記等調査、和解申立費用(印紙・郵送費など)) 24,038円(明渡強制執行費用。執行補助業者費用含む) |
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