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建物明渡訴訟及び判決まで
家賃滞納による建物明渡について、実際に明渡しに至るまでの経過・期間は、物件や当事者にもより一様ではありませんが、ここでは順調に進んだケースを例に、それぞれの手続に要する期間をご説明します。
まず、滞納が相応にある場合、訴訟の前あるいは期間中に退去するケースは稀です。したがって、多くの事案では、判決まで進み、これに要する期間としては2ヶ月前後が多いです。
手続 | 依頼後日数(最短・例) | 日付の例 |
ご相談・ご依頼 | 4月1日 | |
内容証明発送 | 1日後 | 4月2日 |
訴訟提起 | 7日後 | 4月8日 |
初回裁判 | 40日後 | 5月10日 |
判決言渡し | 47日後 | 5月17日 |
建物明渡判決後の一般的な3つの経過
判決が出てから退去が実現するまでは、次の3つの経過をたどることが多いです。
- 訴訟(判決)後の任意退去
- 判決後、執行中の任意退去
- 強制執行による強制退去
の3つです。
手続 | 判決後日数(最短・例) | 日付の例 |
判決言渡し | 5月17日 | |
強制執行申立て | 7日後 | 5月24日 |
1回目訪問(催告) | 10日後 | 5月27日 |
2回目訪問(断行)・退去 | 40日後 | 6月26日 |
判決後(強制執行申立前)の任意退去
当事務所が、速やかな提訴方針を執っていることなどから、判決言渡しの時点では退去せずに物件を利用している方が多いです。
しかし、連絡が付いている場合、転居の予定をこちらに伝えてきた上で、任意退去が期待できます。
強制執行の申立は、事前に準備をしていれば、判決言渡しから1週間程度ですることもできますが、相手の転居予定があれば、少し待つこともあります。
この場合、ご依頼から約2ヶ月で、退去が完了します。
強制執行中の任意退去
相手が判決を受領しても退去しない場合は、強制執行を申し立てます。
執行官の日程にもよりますが、場合により、申立の数日後には1回目の訪問(催告期日)が設定されます。
そこで、直接現地を訪問し、内部を確認します。相手がいれば話をしますし、1ヶ月以内に、断行期日を設定して撤去することも通知します。室内の壁面に「公示書」を掲示して強制執行が進行していることも示します。
このように、入居者は近日中に退去せざるを得ないことを認識しますので、転居したり、転居先がなくても倉庫を手配して荷物を搬出したりすることも多いです。
この場合、建物明渡までに要する期間は、依頼から2ヶ月~3ヶ月以内となります。
強制執行による強制退去
訴訟、執行を経ても退去しない場合も、少なからずあります。
こうしたケースで、強制的に退去させることこそ、訴訟及び執行を行う本来的な目的ではあります。
明渡までに要する期間も、他に比べて最も長くなりますが、相手の状態、意思に関わらず、必ず退去させることができます。
遅くともこの手続を執れば相手を退去させられますので、家主としてはその後の物件の利用計画を立てることができます。
2回目の訪問(断行期日)では、撤去業者を同行し、内部の荷物の搬出・撤去を行います。作業員の人数も10人程度と多く、断行に要する時間は概ね1~2時間です。
断行が終了すればその日のうちに、鍵を交換するなどして退去が完了します。
この場合、建物明渡までに要する期間は、依頼から3ヶ月前後となります。
期間が延びるケース
ここに紹介したケースは、手続が順調に推移した場合であり、中には様々な事情で、期間がより必要となるケースがあります。
まず、通常以上に判決までに期間を要する場合としては、手紙や書類の不到達があります。最終的には相手が受領しなくても判決を取得する方法がありますが、場合によっては現地調査を行うなどで、期間が延びる場合もあります。
そして、訴訟において事実関係に争いが生じ、その点の審理に時間を要する場合や、相手が控訴等で不服申立をする場合もあります。
当事務所では、極力、そういった場合にも短い期間で審理を終えることができるよう、裁判所に対して各種書類を提出するなどして、長期化を防ぐよう努めています。