入居者が行方不明・夜逃げした場合の対応

入居者の行方不明・夜逃げ

賃貸借契約中の入居者が、突然連絡が取れなくなることがあります。理由は様々ですが、訪問しても居住の形跡がない(夜間に明かりが点いていない、洗濯物がない、各種メーターが動いていない、近隣の方が近ごろ姿を見かけない、など)場合は、注意が必要です。

定期的に訪問し、上記の兆候がある場合は連絡を試みます。携帯電話が解約されていたり、緊急連絡先の親類に聞いても判らない場合などは、行方不明を疑って、速やかな対応を検討すべきでしょう。

内部の確認は困難

賃貸借契約が継続している限りは、物件を占有・利用する権利は入居者にありますので、所有者である家主であっても、勝手に中を確認することはできません。

緊急性がないにもかかわらず、入居者の承諾なく内部に入って確認をすると、住居侵入罪などの刑事罰を科される場合がありますので、絶対に入ってはいけません。

施錠された入口を勝手に合鍵等で開けて入ることはもちろん許されませんし、無施錠であっても、ドアを開けて中を確認することは避けるべきです。

契約書上に家主が内部を確認できる旨の規定があっても、当然に当該規定が有効とも限りません。

残置物について

カーテン等が外されて、外から内部が確認できる場合、その限度で確認することは可能です。

家具等の残置物が一切ないのであれば、退去したと判断できる場合もあります。

残置物があれば、その量にかかわらず、入居者の占有・利用が継続していると判断されますので、不用品やゴミのように見えたとしても、勝手に撤去する事はできません。

自力救済の違法性

家賃滞納その他で契約を解除した場合、入居者の占有・利用権はありませんので、いうなれば不法占有の状態になります。

しかし、仮に不法占有であったとしても、日本の法律では、裁判所を通じた強制執行による場合の他は、相手の承諾なくその利用を阻止すること(力尽くで退去させたり、家具を撤去したり、外出中に鍵を交換したりすること)は、禁止されています。

このように裁判所の強制執行手続によらずに権利を実現することを自力救済といいますが、自力救済は法律上禁止されており、相手の財産や利益、精神的苦痛に対する、損害賠償や慰謝料の支払義務が生じたり、住居侵入罪、器物損壊罪、強要罪その他の刑事犯罪となって罰金や懲役刑の対象となったりします。

対処方法

行方不明・夜逃げの場合は、相手の所在を調査しつつ、裁判により明渡の判決を得て、強制執行により撤去する必要があります。

行方不明で相手が書類を受領しない場合でも、民事訴訟法には公示送達手続等の規定もあり、裁判や執行を行うことが可能です。

弁護士は、相手の住民票を調査したり、弁護士会を通じて各種の業者に照会することもできますので、行方不明・夜逃げが疑われる場合には、速やかにご相談頂くことをおすすめします。

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