入居者が無断転貸していた

無断転貸の禁止

転貸とは、借りている物をさらに別の者に貸す、すなわち「又貸し」のことです。

建物に限らず、一般的にどんな物の貸し借りでも、転貸をするには、元の貸主(所有者)の承諾が必要とされています。建物賃貸借においても、部屋を第三者に使わせるには家主の承諾が必要です。

そして、「又貸し」といってすぐに思い浮かぶような、当初の入居者が住まずに他人に住まわせるような典型的な場合以外にも、転貸といえる場合はあります。

例えば、民泊などのように不特定の相手に短期間の利用をさせたり、入居者が住み続けつつ第三者を同居させたり、あるいは法人の所在地として利用したりする場合も、転貸に該当する場合があります。

無断転貸の禁止は民法に規定がありますが、賃貸借契約書においても、通常は禁止事項として明確に記載されます。言った言わないの争いを防ぐために、賃貸人(所有者)の書面による承諾を要する、と書かれた契約書も多いです。


無断転貸に対する対応

無断転貸が判った場合は、原則として解除理由となりますので、速やかに状況を確認し、是正を求める必要があります。

解除ができるかどうかは転貸の態様にもよります。貸主の事実上の経緯を確認するためにも、是正を求める中で相手の事情や説明を確認する必要があります。

対応の順番としては、まずは証拠の確保、そして相手への催告と、その回答への対応となります。


証拠の確保

無断転貸は、家賃滞納や迷惑行為に比べても、外部からは確実な判別は困難です。したがって、利用状況をよく確認し、写真や録画等の他、周辺の方の情報、インターネット上の記載など、様々な方法で証拠を確保する必要があります。


相手への催告

相手に注意して相手が転貸を解消すれば、特段の問題はありません。また、転貸の有無についても、家主の誤解に基づくこともあります。

したがって、契約を解除して退去を求める前に、相手に転貸の解消を催告(要求)する必要があります。これによって転貸の実態や理由も明らかになるかもしれません。

相手が転貸した事実を認めなかったり、転貸した事実を認めても悪質ではない(個人事業を法人成りしただけ、など)として、争ってきた場合は、催告の事実が重要となる場合もありますので、内容証明郵便も検討し、確実に催告の事実がわかるようにしてください。


相手の回答に対して

相手が転貸の事実を認めて是正する場合は、賃貸借契約を継続することになります。

相手が転貸の事実を認めて退去する場合もあります。

最も問題なのは、相手が転貸の事実を否認して争う場合です。この場合にしばらく様子を見るか、あるいは退去を求めていくかは、家主の判断です。

転貸が実質的な問題となっていない場合は、しばらく様子を見つつ、転貸の有無を見極めるのがよいと思います。

退去を求める場合は、相応の証拠を確保し、訴訟等を見据えて行動することとなります。速やかに弁護士にご相談されることをお勧めします。

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