家賃滞納者に対して行ってはならないこと

自力救済の禁止

日本の法律上、仮に権利があっても、相手の意思に反してそれを実現する場合は裁判所の手続によることとされています。

正規の裁判手続によらずに権利を実現することは「自力救済」と呼ばれ、違法な行為として禁止されています。

例えば、借金の取り立てでも勝手に相手の財布からお金を取ることはできません。

賃貸借契約においても、家賃滞納などで契約を解除し、相手が利用する権利を失ったとしても、適法な手続を経ずに追い出したり、閉め出したりすることはできません。

自力救済に当たるとされる例

物件に勝手に入ることは、そもそも認められません。例え契約が終了していても、相手の排他的な占有状態は続いていますので、相手の承諾なく入ってはいけません。

そして、相手を無理やり外に連れ出したり、外出中に鍵を交換して閉め出すこともできません。物件の利用を停止させるためには裁判所による強制執行による必要があります。

相手の財産を勝手に搬出したり、撤去する事もできません。相手の利用を、適正な手続を経ずに妨げることはできません。もちろん、廃棄・売却等することもできません。

これらはいずれも明渡や支払を強引に実現するもので、自力救済として違法となり、刑事罰や損害賠償の対象となります。

事案によっては数十万円から100万円以上の損害賠償を裁判所が認めたケースもありますので、注意が必要です。

嫌がらせなどの権利侵害

自力救済とまではいえなくとも、嫌がらせによる権利侵害の事例も見受けられます。

玄関に滞納の事実を記載した貼り紙を貼ったり、第三者に対して当該事実を伝えたり、インターネット等で特定可能な形で発信したりすると、名誉毀損罪やプライバシーの侵害として、処罰されたり、慰謝料の支払義務を負ったりします。

近時はSNS等の普及により、嫌がらせの行為が、広範囲に拡散することも考えられます。

そうすると、名誉やプライバシーの侵害の程度も大きくなりかねず、また賃貸人(家主)や物件の信用低下という悪影響もあるため、こうした行為は絶対に行ってはいけません。

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