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賃貸借契約と「長期不在」
賃貸借契約においては、長期不在について契約書に定めを入れている場合もあります。標準的な契約書の場合「一ヶ月以上継続して留守にする場合」は家主に通知することを義務付けているものが多いです。
通常は留守にするかどうかは入居者の自由ですし、むしろ防犯上の理由から第三者に積極的に知らせないことも多く、通知義務を履行しないからといって当然に契約違反の責任を問えるわけではありません。
しかし、長期不在が疑われる場合には、契約書の通知義務を根拠として問い合わせを行うことができるので、そうした条項は確認しておくとよいでしょう。
逮捕・勾留
入居者が、逮捕や勾留されて、長期間不在となる場合があります。
逮捕や勾留の事実が判明するのは、多くは家族や弁護士からの連絡によってですが、中には滞納が続いてはじめて判る場合もあります。いずれにしても、賃貸借契約の継続について不透明な状況ですので、次のことを確認する必要があります。
- 事件の担当弁護士
- 事件の概要(罪名)、今後の見通し(概ねの釈放時期や次回裁判日)
- 今後の窓口となる連絡先(緊急連絡先のままでよいか)
- 家賃の支払い見通し
- 退去の意思の有無
逮捕・勾留された場合、一度も家に戻ることなく有罪判決を受けて刑務所に行き、そのまま刑に服する場合もありますので、今後の見通しを担当弁護士などに聞くことは重要です。
退去の要請
通常、逮捕は3日間、勾留も起訴される前であれば最長20日間です。その後釈放されれば、退去を求める必要性は低いです。
もっとも、勾留後に起訴されれば、身体拘束は数ヶ月間続くこともよくあります。
本人からの支払も期待できませんので、滞納のリスクは大きくなります。
仮に連帯保証人やその他の家族が、家賃を負担しているとしても、入居者が不在のまま数ヶ月が経過することは、物件の管理上望ましくありません。
逮捕等で不在が長期化する場合は、退去を検討すべきです。
逮捕を理由とした解除の可否
退去させるに当たっては、賃貸借契約の解除が必要です。
あくまでも逮捕は、容疑があるというだけであり、実際に入居者が罪を犯したとは限りません。したがって当然に解除できるわけではありません。
しかし、本人が事実を認めている場合などは、信頼関係を失ったとして、解除理由となる場合もあります。
詳しくは弁護士にご相談ください。