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事業用物件(オフィス・店舗)の建物賃貸借
賃貸借物件には、主に住居として利用されるものの他に、オフィス、事務所や店舗として利用されるものがあります。テナント物件、事業用物件などと呼ぶこともあります。
基本的に、居住用物件でも、事務所・店舗その他の事業用物件でも、建物の賃貸借契約という意味では共通であり、法律等による規制や手続に大きな違いはありません。
もっとも、次に述べるように、事業用物件(オフィス・店舗)の賃貸借契約には特有の事情があります。
事業用物件の特徴
まず、事業用物件は総じて立地が良く、また床面積も広いため、家賃が高い傾向にあります。住居であれば生じない消費税もオフィス物件では課税され、月額の賃料は数十万円から数百万円という場合もあります。
家賃が高いということは、問題解決に長時間を要した場合、それに応じて損害が拡大するペースも速いということです。早期解決が非常に重要となるのです。
次に、オフィス物件は原状回復に時間や費用がかかる点が挙げられます。厨房設備や医療設備、また店舗でも照明や間仕切り壁など、内装を大幅に変更することも多いです。
そうすると、こうした設備を撤去するだけでも費用が数十万、数百万円がかかる場合があります。保証金も多く預託させている例が多いですが、家賃自体が高額なことから、保証金では不足することも多いです。
このように、オフィス物件において強制退去を実現する場合、費用や手間が相当程度かかります。滞納等のトラブルがある場合、初期(滞納から1,2ヶ月以内)の対処が必要です。
裁判手続への対応
事業用物件のテナントは会社や個人事業者であり、特に事業を継続している場合などは、比較的コミュニケーションが取り易い傾向にあります。また信用問題に関わるということもあって、裁判にも応じてくることが多いです。
早期に対策を取れば、相手の状況も分かり、解決のための選択肢も拡がります。
この点からも、事業用物件では、損害の拡大を防ぐために、速やかに法的措置も含めた適切な対応をすることが、一般的な住居物件に比べても重要ということができます。