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ペット飼育の可否とペット禁止特約
賃貸借契約において、特に何も定めがなければ、ペットを室内で飼育することが可能です。もちろんペットを飼育することで生じた汚損は、退去の際に原状回復する必要があります。
家主が、騒音や臭気、汚損等の予防としてペットを禁止したいと考えた場合は、契約の内容として、ペットの飼育を全面的に禁止する特約や、飼えるペットを制限する特約を定めることも可能です。
この場合は、特約に反して室内でペットを無断で飼育した場合は契約違反となります。
ペット禁止特約違反の無断飼育と解除の可否
ペット禁止特約に反してペットを無断で飼育した場合、契約を解除して退去を求めることができるでしょうか。
これについては、原則としては契約違反ですから退去を求めることができると考えてよいです。例外的に、実質的に被害がない場合は(例えば非常に小さい生物で騒音や臭気もないなど)、立退きまでは求められない、という場合もあるかもしれませんので注意が必要です。
ペット禁止特約がない場合
ペット飼育を禁止する特約がなければ、基本的にはペットを飼うことは可能です。
ただし、騒音や臭気等が近隣住民の迷惑になったり、汚損が著しく建物の価値を毀損するような場合は、用法違反として、契約解除・明渡を請求できる場合があります。
事例
東京都内の戸建てにおいて、禁止特約に反してフェネックギツネを飼育したという理由で解除を認めた事例(平成22年東京地裁)などがあります。この事例では、入居の際に説明を受け、ペット禁止を認識していた点なども認定されています。
他の事例では、ペット禁止特約があっても、親族の入院期間に一時的に犬を預かり、1,2週間室内で飼育した場合には、禁止されたペットの飼育には当たらない、という判例もあります。
ペットの無断飼育が立ち退きを請求する契約違反となるかどうかは、経緯やペットの種類、飼育の態様によって変わることもありますので、詳しくはご相談ください。