当事務所によく寄せられる相談と、その回答を掲載します。
もっとも、不動産は様々で、個別の事情によるところが大きいので、ご参考とお考えください。
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入居者が家賃を支払わない、どのようにすればよいか
家賃の滞納は、うっかり支払い忘れた場合でない限り、繰り返されることが多いです。中には体調不良などもありますが、ほとんどのケースでは、滞納分の解消に至りません。
そこで、まずは入居者に連絡をとり、滞納状況を通知すると共に、その理由を聞いた上で今後の支払予定を確認します。連帯保証人がいる場合は、必ず連帯保証人にも連絡します。
少しでも不安がある場合は、契約解除を検討すべきです。
例えば、連絡が付きにくい、訪問しても留守がちである、理由が失業で再就職先が明確ではない、連帯保証人が事情を把握していない、などの場合は、速やかに解除に向けて動くべきです。
滞納が2ヶ月以上であれば、すぐにご相談いただき、解除に必要な措置を着実に執っていくことをお勧めします。
契約書がない場合はどうすればよいか
友人間の貸し借りなど、もともと賃貸借契約書を作っていなかったり、当初はもっていたが紛失してしまった場合であっても、もちろん解除・退去要求は可能です。
契約書に記載があれば貸主に有利な条項もありますが、解除して退去する分には契約書はなくてもかまいません。
賃貸した経緯や、賃貸条件(家賃、期間、更新料、入居目的など)は、本来契約書で確認しますが、契約書がない場合は簡単にまとめておいていただくと、相談の際にスムーズに状況を伺うことができます。
連絡が全く取れない場合
滞納があり、かつ連絡が取れない場合は、なんらかのトラブル(失踪、孤独死等)の場合もあります。訪問しても全く連絡が取れない場合は、物件に立ち入って確認することが必要です 。
警察官の臨場(立会い)を求めて内部の確認をするのがよいと思います。
電気・水道・ガスなどのメーターが確認できるようであれば、少し期間をあけて確認し、使用状況をチェックします。夜間に訪問して電灯が付いているかを確認することも有効です。
いずれにしても、滞納がある以上は、解除して退去を求める方向で進めるのがよいと思います。
入居者の希望に応じて滞納分を分割払いにしたが、結局遅れている
滞納が生じた場合に、家主と入居者の間で話し合いを行い、滞納額分割払いの約束をするケースもよくあります。
例えば家賃80,000円で3ヶ月分の滞納240,000円を1年間で20,000円ずつに分割し、家賃に上乗せして毎月100,000円支払う形などです。
しかし、私が知る限り、このような分割払いは頓挫する場合がほとんどです。やはり滞納するには理由があり、通常の家賃すら払えない入居者が、上乗せして払えることは少ないからです。
分割による完済は期待できないと考え、退去を目指すことが結局は損害を最小化する方法です。
入居者が亡くなってしまった
暫く連絡が取れない場合に、亡くなってしまっていた、ということがあります。
特に昨今は一人暮らしの高齢者も増えており、また近所づきあいも少なくなってきているため、孤独死のリスクは小さくありません。
物件内で亡くなり発見が遅れると、物件の価値の毀損につながるため、早期に発見することが重要です。
入居者が高齢の一人暮らしなどの場合は、こまめに連絡を取る(特に1回でも滞納が生じた場合は、すぐに電話や訪問をする)などするのがよいでしょう。
そして、物件の内外を問わず、亡くなってしまった場合は、入居者の相続人が賃貸借契約上の地位を承継します。
相続人がしっかりしていれば、原状回復や未納家賃の精算なども問題なく進むかもしれませんが、相続人がいなかったり、協力的でなかったり、資力がなかったりすると、退去・撤去の遅れが損害に直結します。
したがって、速やかに相続人に連絡を取り、対応を確認する必要があります。
緊急連絡先がわからない場合は、戸籍や住民票を辿るなどして、関係者の相続関係を調査します。弁護士は職務上、迅速かつ容易に戸籍関係を調査することが可能ですので、まずはご相談ください。
入居者が逮捕されてしまった
入居者が逮捕された場合、勾留や受刑のため、長期的に不在となることがあります。
また、理由によっては、賃貸借契約を解除して退去を求めることが可能な場合もあります。連絡も取りづらいことが多いです。
まずは家族その他の緊急連絡先や、事件を担当する弁護士に連絡して状況を把握し、賃貸借契約についての方向性を確認することが重要です。
刑事事件の流れについても、弁護士にご相談いただければ、ご説明が可能です。