滞納家賃・賃料の回収方法について

家賃の回収

家賃滞納が生じた場合、建物の明渡しと並行して、家賃の回収を行います。

回収の方法は、

  1. 口頭による督促
  2. 請求書による督促
  3. 内容証明による督促
  4. 裁判所の「支払督促」によるもの
  5. 裁判所の「少額訴訟」によるもの
  6. 裁判所の「通常訴訟」によるもの

などがあります。

弁護士による通常の回収手段

当事務所が家賃滞納についてご依頼を受けた場合、上記の回収方法のうち、③内容証明郵便による督促、を行い、時間をおかずに⑥裁判所に「通常訴訟」を提起します。

当初の手続として内容証明を用いる理由は次の通りです。

まず、口頭や請求書による催促が有効な場合もありますが、既に家主からの督促がなされているにもかかわらず支払がないケースが多く、弁護士名による内容証明郵便によることで、相手に対し、家主の督促の強い意向が明確に伝わります。また、解除や時効完成猶予の手段としての催告は、事後的に立証の必要があり、証明のしやすさから内容証明郵便が適しています。

そして、通常訴訟を選ぶ理由です。支払督促や少額訴訟では、建物の明渡を同時に請求できませんが、書類作成等の手間は弁護士にとっては通常訴訟とさして変わりません。

滞納の解決には建物明渡が最も有効ですので、建物明渡請求の通常訴訟を提起し、家賃請求も一緒にすることが最善の方法です。

回収の実効性

当事務所が受任する、建物明渡請求のほとんどでは、同じ裁判で滞納家賃の請求もしています。そして、ほぼ全ての事案で、支払を認める判決が出ます。

この判決を元に、預貯金や給与、不動産の差押を行ったりすることで、回収が実現する事も多いです。しかし、回収がなかなか難しいケースもまた、多いです。

支払を命ずる判決が出ても、それは相手の財産を差し押さえて回収することができるというものに過ぎず、財産のない相手には判決も余り意味をなしません。

特に相手が自己破産手続を取る場合もあり、そうした場合は合法的かつ確実に、支払が受けられなくなります。

保証人に財産があったり、借家人の出身地に親から相続した遺産があったりする場合もありますが、全体としては、それほど期待できません。

明渡の重要性

家賃の滞納があった場合、回収は難しいことが多く、また、滞納が複数ヶ月に及んだ場合、一時的に支払が再開しても、すぐにまた滞納が開始する可能性が極めて高いです。

したがって、同じ賃借人の利用期間が長くなるほど、未払による損害が拡大します。

結局は、明渡により別の優良な賃借人に交代してもらうことが、最も有効かつ確実な解決策です。

滞納家賃の回収ももちろん最後まで行いますが、まずは明渡を最優先として、対応することをおすすめします。

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