このページの目次
概要
都内のビルに入居していた飲食店(居酒屋)が、新型コロナウィルスの流行に前後して、家賃を滞納しました。
緊急事態宣言等で経営が悪化すると、滞納額は大幅に増加し、契約継続は困難な状況に陥ってしまいました。
当事務所では相談を受けて速やかに民事訴訟を提起し、相手との交渉と並行して、銀行口座情報取得手続や、預金差押などの法的手続も進め、結果として全額回収しました。
賃貸借契約
地域 | 東京都渋谷区道玄坂 |
家賃 | 月額 140万円(2店舗合計) |
状況 | 滞納額約1390万円(2店舗合計) |
備考 | 借家人は都内で複数店舗を経営する株式会社。連帯保証人は代表者個人。 |
経緯
2020年02月末 | 家賃の支払が遅れ始める |
2020年04月ころ | 家主から滞納分の請求(有効な反応なし) |
2020年06月01日 | 家主から解除通知を送付 |
2020年06月10日 | 当事務所にご相談、明渡し・回収についてご依頼 提訴準備(印紙発注・切手準備・訴状等作成・証拠書類等準備・住民票等確認) |
2020年06月29日 | 東京地裁に借家人(会社)及び連帯保証人(代表者)両名を提訴 |
2020年06月30日 | 借家人から家賃の一部入金あるも、明渡しは未了 |
2020年07月02日 | 借家人に内容証明郵便を発送(解除済通知・退去要求・滞納額等請求) |
2020年09月28日 | 借家人担当者が当事務所に来所、交渉(この後もメールにて交渉継続) |
2020年10月14日 | 第一回口頭弁論期日(相手は欠席) |
2020年11月02日 | 任意退去 |
2020年11月20日 | 借家人から請求額減額を求める文書を受領 |
2020年11月25日 | 第二回口頭弁論期日(相手は担当者が出席) |
2020年12月25日 | 第三回口頭弁論期日(相手は担当者が出席) |
2021年02月24日 | 判決言渡し |
2021年03月16日 | 判決確定 裁判所に対する、預金口座情報取得手続準備 (切手等準備・申立書作成・添付書類準備・送達証明取得・執行文付与など) |
2021年04月13日 | 東京地裁執行センターに借家人に対する情報取得申立て 各銀行から回答受領 差押え準備開始(切手等準備・申立書等作成・添付書類等準備など) |
2021年05月13日 | 回答を元に、東京地裁執行センターに預金口座の差押申立て |
2021年05月24日 | 預金口座の残高全額(525万1851円)を差押え 不足分回収のため、連帯保証人(代表者)に対する情報取得手続準備開始 |
2021年06月24日 | 連帯保証人(代表者)について、情報取得申立て 各銀行から回答受領 |
2021年07月06日 | 相手から支払についての残額支払い提案あり(580万円) 並行して代表者口座差押えの準備 |
2021年07月07日 | 差押金525万1851円について、銀行から送金受領 |
2021年08月05日 | 残額支払いについて、相手と合意 |
2021年08月12日 | 合意額(580万円)の一括支払いを受け、全額の回収完了 |
ポイント
新型コロナウイルスが拡大し始めた時期に滞納がはじまった事例です。
もっとも、滞納が先行しており、滞納の直接の原因はコロナではありませんでした。
建物のオーナー(法人)は、自身で複数回、催告し、支払の相談に乗ることも提案しましたが、進展はありませんでした。
当事務所介入後、相手方の担当者との交渉がなされました。当事務所としては、オーナーの考えに基づき、あくまでも約定全額の支払いを求めました。
借主が複数の店舗を経営する会社であったこともあり、一定程度の資力が見込まれたため、民事訴訟及び強制執行(差押)を、可能な限り迅速に進め、最終的な回収につながりました。
テナントにも様々な事情がありますが、オーナーも様々なリスクや負担を負って、不動産経営をしています。契約や法律に定められた権利、利益について、当事務所では早期・確実な実現を図ります。
弁護士の活動・費用
解決までの期間 | 明渡しまで相談から4ヶ月、全額回収まで相談から14ヶ月 |
回収金額 | 11,050,981円(敷金約334万円と併せて全額回収) |
弁護士費用 | 3,619,215円 (内容証明1.1万円、訴訟着手22万円、明渡報酬44万円、 情報取得着手16.5万円(6銀行)+27.5万円(11銀行)、 差押着手7.7万円(2口座)、回収額の22%) |
実費 | 209,292円 (実費74,573円、情報取得申立費用117,129円(2回分)、差押申立費用17,590円) |