家主にとって厄介な家賃滞納ですが、発生後の速やかな対応が重要です。
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1. 滞納の発生(初回)
通常、多くの賃貸借契約では、家賃は銀行振込により、支払われていると思います。
滞納に対処するには、当然ながらその発生にすぐに気付かなければなりません。
当事務所にご相談に見える方の中には、「老齢の親が管理していて滞納に気付かなかった」とか「通帳に記帳する機会が少ないから気付くのが遅れてしまった」として、数ヶ月分、ときには数年分の家賃滞納を見逃していた、という方もたまにいらっしゃいます。
賃借人や保証人に相応の財産がある場合は、対処が遅れても最後には回収できる場合もありますが、家賃すら払えない賃借人や保証人は、何も財産や収入がなかったりします。最悪、破産する場合もあります。そうすると、対処が遅れた分だけ、損害が拡大することになります。
特に、日ごろから遅れがちの借家人の場合などは、期限の直後には確認するようにしましょう。
保証会社を利用している場合、滞納が生じてからその旨を保証会社に通知するまでに期限があります。滞納を放置すると保証会社の保証を受けられない場合もありますので、注意が必要です。
2. 催促・理由の確認
滞納といっても、理由は様々です。一般的に、賃貸物件は生活の拠点として重要ですので、借りる側も、家賃については他の支払いより優先していることが多いです。
したがって、家賃を1回遅れたとしても、催促をすれば支払うという場合もよくあります。近くに家主が住んでいる場合はもちろん、多少遠方でも、訪れてみる、手紙や電話で確認をするのが非常に重要です。家主からの連絡がすぐにあることで、借家人に緊張感も生まれますので、滞納の予防にもつながります。
3. 滞納の継続(2回目)
滞納が2回目(2ヶ月分)になるかどうかは、非常に重要な判断ポイントとなります。
例えば、7月分の家賃が6月末に入っていない場合、それはそれで黄信号ですが、単なる「うっかり」かもしれません。
ここで、すぐに催促しておくと、2回目の滞納への対処がスムーズに進みます。7月初旬に請求書を送り、相手が受領するか否か、相手から返答があるか否かを確認します。
支払があればもちろんよいです。何も問題はありません。
支払がない場合でも、請求書の送ることでいろいろと判ることがあります。受領の有無、返答の有無、返答内容(遅滞理由)などは有力な手掛かりとなります。
このとき大事なのは、支払や返答に期限を設定することです。例えば、7月5日付の手紙で「7月10日までには必ずご連絡のうえ、お支払い下さい。」と記載します。それでも10日までに支払も連絡もない場合は、翌月の家賃期限(例では7月末)が来る前に、もう一度、督促状を送るのがよいでしょう。
近くに住んでいれば、現地確認も有効です。急な病院や事故等の可能性もありますので、住んでいるかどうかは確認しておきます。
電気やガス・水道のメーターが動いているか。郵便受けは溢れていないか、夜間であれば電気が点いているかどうか。写真も取っておきましょう。
2回程度の督促にも関わらず支払がなく、納得できる理由もないまま2ヶ月分(7月末)になった場合は、赤信号です。すぐに法的措置の準備をする必要があります。