解決事例

交渉による(訴訟によらない)明渡しと全額回収

2024-03-21

概要

 本件は、川崎市郊外のアパートの1室の事例です。
 賃貸借契約は2006年からで、2020年に家主の男性が亡くなりました。その家主はアパートを他にも複数、所有して管理しており、家主の妻が相続により賃貸人の地位を承継しました。
 遺産の整理をしていたところ、借家人の1人の長期滞納が発覚しました(前家主は滞納を把握していたようですが、妻は知りませんでした。)。
 そこで、滞納者に対し、電話や訪問により連絡を試みましたが、安否すら不明という状況でした。
 当事務所が相談を受け、弁護士が警察官の協力を得て内部を確認すると、想定外に借家人が現れ、その後、交渉により退去及び滞納家賃回収が実現しました。

賃貸借契約

地域川崎市中原区
家賃80,000円/月
状況約151万円(1年半以上滞納)
連絡つかず。連帯保証人にも連絡がつかず。
備考家主は夫から相続したため、契約状況を知らなかった。

経緯

2008年11月末家賃の支払が断続的に遅れがちになる
2020年08月08日元家主(現家主の夫)が死亡
相続手続・整理・片付け
→2021年03月に、滞納額が多額に及んでいることが発覚
2021年04月05日ご相談・ご依頼
現地訪問・警察官立会のもと、解錠して部屋に立ち入り
借家人本人在宅を確認
状況や今後の流れなどの説明
2021年04月08日借家人に内容証明郵便を発送(催告及び解除通知)
あわせて借家人に電話し、改めて契約関係等を説明
2021年04月13日一部入金を確認
2021年04月28日残金入金を確認
2021年05月31日任意退去
明渡し完了

対応結果

 入居者の安否の確認ができないという状況から、警察官に臨場を依頼し、合鍵で解錠しました。
 すると、想定外に特に体調も悪くない様子の借家人が在宅していました。滞納額が増え、連絡を取りにくかったとのことでした。
 任意退去と滞納額の支払いについて説明すると、理解した様子でした。
 その後、入居者は親族から資金援助を得たようで、支払を完了すると共に、速やかに退去しました。
 結果的にご相談から1ヶ月かからずに滞納額の全額を回収し、2ヶ月かからずに明渡に至りました。

ポイント

 連絡に反応がない場合や、入居者の安否に不安がある場合でも、合鍵により承諾なく室内に入ると、後に違法性が認められ損害賠償責任を追及されるおそれがあります。
 インターネットの情報等にも正しいものも正しくないものもあります。具体的な行動に出る前に弁護士にご相談いただくことで、取り得る選択肢とその内容が正確に理解できます。
 何らかの不安がある場合、まずは弁護士にご相談下さい。

弁護士の活動・費用

解決までの期間全額回収まで相談から1ヶ月弱
明渡しまで相談から2ヶ月弱
回収額1,591,577円(全額)
弁護士費用581,147円
(内容証明1.1万円、明渡報酬22万円、回収額の22%)
実費13,640円

ゴミ屋敷の明渡と原状回復費用の回収を実現した例

2024-02-19

概要

 本件は練馬区内のアパートの明渡し及び回収例です。
 入居者は1人暮らしの60代男性で、喫煙者でもありました。訴訟の間は連絡がつかず、部屋の状況は判りませんでしたが、強制執行の段階で立ち入ると、内部は雑多なゴミが堆積し、壁はいたるところまで煙草のヤニでかなり傷んでいました。
 訴訟及び強制執行により、退去を実現すると共に、財産関係や親族関係を徹底的に調査し、滞納家賃の他、執行費用や原状回復(リフォーム)費用も含め、全額の回収に成功しました。

賃貸借契約

地域東京都練馬区
家賃62,000円
状況約13ヶ月分(85万円)滞納。
滞納後は連絡がとれなくなった。
かなりのゴミ屋敷。備品の破損等多数(後に判明)。
備考連帯保証人あり(母。係争中に死亡)。
姉と借家人が相続人のところ、姉は相続放棄。
両親は離婚。
父は原状回復後に死亡確認。
父の相続財産を姉と借家人が相続。

経緯

1990年ころ賃貸借契約成立
2018年04月借家人が家賃を滞納しがちになる
2019年03月末滞納賃料が増え始める
2020年04月10日現地訪問・ご相談
明渡し・回収についてご依頼
2020年04月13日借家人・連帯保証人宛に内容証明郵便発送(催告及び解除通知)
提訴準備(印紙発注・切手準備・訴状等作成・証拠書類等準備)
2020年04月24日東京地裁に借家人・連帯保証人両名提訴
(借家人は訴状が送達できず。保証人状況調査開始)
2020年07月30日書留郵便に付する送達の上申
(7/29のほか、追加で8/6も現地調査)
保証人の死亡を確認
→保証人のみ訴え取下げ
(借家人の姉から相続放棄の連絡あり)
2020年08月26日第一回口頭弁論期日
借家人は出廷せず。訴訟は結審。
2020年09月09日判決言渡し(請求通りの完全勝訴)
2020年10月02日東京地裁執行官室に建物明渡強制執行の申立て
2020年10月23日催告期日(借家人在宅)
2020年11月19日断行期日(借家人在宅)
明渡し完了
2021年01月10日原状回復工事完了
方針検討・財産調査継続
2022年06月16日借家人の父の死亡を確認
相続財産を姉と借家人が相続することを確認
分割協議予定とのこと
並行して原状回復費用提訴・差押えの準備を開始
2022年07月04日東京地裁に借家人の原状回復費用について提訴
2022年08月10日第一回口頭弁論期日
結審・即日判決
2022年09月12日借家人の姉から分割協議終了の連絡あり
2022年09月22日借家人から請求額の確認の連絡あり
2022年09月26日借家人から請求額通りの入金を確認
原状回復費用を含めた全額の回収を完了

概要及び経過

 物件は練馬区内、環状8号線から少し住宅街に入ったところにある木造アパートです。
 滞納のある1階の部屋に入居していたのは、一人暮らしの60代男性です。
 30代の頃から、30年近く継続して居住しており、その間は滞納や迷惑行為などもなく、家主から見ればむしろ理想的な店子でした。
 借家人は日常的に仕事にも出て収入もあったようなので、滞納の理由は不明です。
 滞納後しばらくは、長年の関係からの遠慮もあり、家主や管理会社もそこまで強く催促はしませんでした。その結果、少しずつ蓄積した滞納額は1年分に膨らんでいました。

当事務所の対応

 基本的に、滞納案件はそれ以上の滞納額が増えないよう早期明渡を目指します。
 既に生じた滞納の回収は相手の資力次第の側面がありますが、退去を早期に実現することによる損害拡大の防止は、確実な効果が見込めるからです。
 ご依頼後、速やかに相手に催告・解除通知を送付し、訴えを提起し、裁判に欠席したため、すぐ明渡しを認める判決が出ました。
 判決に基づく強制執行の初回訪問において、初めて借家人と話をしましたが、やはり滞納分の支払は困難とのことで、強制執行を最後まで行うことになりました。
 強制執行で中に入ると、室内がゴミ屋敷のように物に溢れ、清掃不備などによる内装の著しい劣化状況も確認できました。 

原状回復前のバスルームの状況

 退去後、家主により原状回復工事が行われました。
 汚損が著しかったため、滞納分と合わせると家主側の出費はかなりの金額に及んでいました。
 その当時は借家人自身には見るべき財産はなく、勤務先も判然としませんでした。さらに、保証人として借家人の母親がいましたが、少し前に亡くなっており、他の相続人が相続放棄をしており、回収は困難と思われました。
 しかし、滞納額や原状回復費用が高額に及んだこともあり、徹底的に調査した結果、借家人に父方の相続財産があることがわかりました。
 そこで、当該相続財産の差押えを準備、通告しつつ交渉した結果、最終的には全額の回収となりました。

ポイント

 家賃滞納が発生する場合、基本的には資産や収入がないことが通常です。したがって、滞納額全額の回収が見込めません。
 そこで、保証人がいればその財産が当てになるのですが、賃貸借契約の期間が長期にわたる場合、保証人が死亡したり、保証人も高齢で無資力となってしまう場合があります。
 残念ながら回収困難なまま退去のみで終了するご依頼もありますが、可能な限り財産の調査を行うことで、本件のように満額の回収ができる場合もあります。弁護士には職務上認められた調査権限や、各種の差押、開示手続等の法的手続のノウハウがあります。
 ご依頼された家主様のご希望に添えるよう、最適な方法をご提案致しますので、まずは一度、当事務所にご相談下さい。

弁護士の活動・費用

解決までの期間明渡しまで相談から7ヶ月
全額回収まで相談から2年5ヶ月
(明渡しからは1年10ヶ月)
回収金額469万8000円(原状回復費用約159万円を含む全額)
弁護士費用148万4487円
(回収分の22%、明渡報酬22万円、訴訟着手11万円、内容証明手数料1.1万円)
実費95,094円(住民票・登記等調査、2回分の訴訟費用(印紙・郵送費など))
52,648円(明渡強制執行費用)
242,000円(執行業者費用。保管品処分費用含む)
159万8264円(原状回復費用)

借上げ社宅の明渡し例

2023-06-20

概要

 本件は静岡県三島市内の借上げ社宅です。
 依頼人は全国展開している会社で、従業員のために支店各地の集合住宅などを一棟借上げ、当地に赴任された従業員の住居として提供していました。

 会社と従業員の間では賃貸借契約(転貸借契約)を結んでいました。従業員が離職すると、社宅を利用することはできませんので当該契約も終了することになっていました。
 借家人は、退社により転貸借契約が終了したにもかかわらず、家賃も支払わず居座っていましたので、法的な手続きを経て明渡しを実現した例です。 

賃貸借契約

地域静岡県三島市
家賃62,000円/月
状況約50万円滞納(約8ヶ月分)
従業員でなくなった場合は終了する賃貸借契約
備考連帯保証人なし

経緯

2016年04月15日賃貸借契約開始(家主から会社が賃借し、従業員に転貸)
2019年03月20日借家人が依頼人(会社)を退職
借家人から退職後の継続居住を要望する旨の連絡
依頼人会社が審査中に連絡が途絶える(利用は継続している様子)
2019年12月03日ご相談・明渡しについてご契約
提訴準備(印紙発注・切手準備・訴状等作成・証拠書類等準備・住民票等確認)
2019年12月09日東京地裁に提訴
→訴状不送達
2020年01月22日現地調査
公示送達申立て
2020年02月14日第一回口頭弁論期日(不出頭)
結審
2020年02月21日判決言渡し
2020年03月03日静岡地裁沼津支部執行官室に明渡しの強制執行申立て
2020年03月13日強制執行期日(催告)
借家人不在
室内の状況から利用していることを確認
2020年03月30日強制執行期日(断行)
室内で借家人を発見。そのまま退去立会。合鍵の回収・所有権放棄書の受領
建物明渡し完了

経過

 借家人は従業員であった30代男性で、3月に自己都合で退職した後は、契約によれば明渡しが必要でした。しかし、従業員としてではなく一般の借家人としての再契約の申出がありました。
 社内での検討の結果、継続を認める方向でしたが、突如として連絡がつかなくなり、訪問しても緊急連絡先に連絡しても所在が判明しませんでした。

 1ヶ月後に連絡が入りましたが、必要な書類は提出されずがいつまでも提出されずにおり、またも連絡がとれなくなりました。
 結局、継続居住の話はなくなり、退去通知をしましたが、やはり応答がありませんでした。

 そこで、当事務所にご相談がありました。借家人の退社から8ヶ月後のことでした。

当事務所の対応

 既に何度も連絡を試み、退去を要請していたことや、先方が音信不通であることから、あらためての通知は行わずに速やかに裁判所に訴訟を提起しました。

 予想していた通り、訴状を借家人が受け取らなかったため、現地支店の依頼人担当者に現地調査をしてもらいました。
 応答はなく不在の様子で、電話にも対応がなかったため、裁判所にはその旨報告し、公示送達(相手が所在不明等の場合に裁判所に掲示することで送達とする手続)で訴状を送達しました。
 年をまたいだものの、2ヶ月余りで退去を命ずる判決が言い渡され、強制執行を申立てました。
 強制執行において、合鍵で中に入ったところ、借家人本人が部屋の隅に隠れていました。
 もっとも、すでに観念していたのか、特に抵抗せず、同行した支店担当者に合鍵を渡し、事後処理のための連絡先などを述べて素直に退去しました。
 

ポイント

 昨今は、専用の社宅を有する会社も減り、民間の賃貸住宅を利用した借上社宅が多いです。
 借り上げ社宅の特徴は大きく2つあります。まず1点目は、理論上転貸借となり2つの賃貸借契約があること、2点目は、身分関係(従業員であること)が契約条件となることです。
 いずれも、通常の賃貸借契約と比べて対応方法が大きく変わるということはありませんので、適切に事実関係を整理して主張することで、速やかに明渡の判決を得ることができます。
 特に社宅において従業員の地位を喪失した場合、明渡義務は比較的認められやすい傾向にあります。
 つまり、適切に法的措置を講ずれば、早期かつ着実に解決が可能です。
 会社にとって、従業員との関係を良好に保つことは重要ですが、退職した従業員とのやりとりに時間や労力をかけることは効率性や生産性の観点から望ましくありません。
 速やかに法的措置により解決を図ることが望ましいといえます。
 

弁護士の活動・費用

解決までの期間明渡しまで相談から3ヶ月
弁護士費用462,000円
(訴訟着手11万円、明渡着手11万円、明渡報酬22万円、日当2.2万円)
実費454,662円
(実費56,688円、強制執行費用41,904円、撤去・処分費用356,070円※)
※解錠技術者費用4.4万円、交通費26,700円含む。

契約者により駐車場に放置された車両を強制執行せずに撤去した例

2023-02-10

概要

放置状況

 本件は小田原市内の住宅街にあるアパートの敷地内青空駐車場の事例です。
 賃貸人は、もともと賃借人アパートの一室を貸しており、その際に敷地内の駐車スペースも1台分貸していました。退去にあたり部屋の明渡は完了しましたが、車両だけ放置したままとなりました。
 こうした場合には、契約者との連絡状況、車両名義、車両の価値、駐車場の必要性などにより、とるべき手段が変わる場合があります。
 本件では、当事務所の調査により契約者と連絡が付いたため、処分についての同意を得て廃車回収業者を利用した撤去となりました。

賃貸借契約

地域神奈川県小田原市
駐車場代5,000円/月
状況20万円滞納(40ヶ月分)
連絡・応答なし
備考小型の15年落ち日本車
車検証・鍵なし
3年以上放置、自走可否不明

経緯

2016年10月末最後の入金
以後、支払いがないまま転居(駐車場の車両は放置)
2020年01月31日ご相談・ご契約
2020年02月10日賃借人に内容証明郵便を発送(催告・解除)
提訴準備(印紙発注・切手準備・訴状等作成・証拠書類等準備・住民票等確認)
2020年02月21日横浜地裁に提訴
※新型コロナウイルスによる緊急事態宣言発出のため手続遅延
2020年07月07日第一回口頭弁論期日(不出頭)結審
2020年07月14日判決言渡し
2020年08月03日賃借人の転居先を訪問
不在。賃借人の元妻が対応するも、車両の鍵もなく対応困難
所在等調査
2020年08月13日新住所確認
滞納額請求書を新住所に発送
→反応・応答なし
2020年09月30日新住所訪問
不在。同居人が対応
2020年10月01日賃借人から連絡(協力姿勢を見せる)
必要書類等(陸運局提出用の委任状等)の要請
2020年11月13日ローン状況・財産等調査
→何度か賃借人に連絡も「準備中。待ってほしい」との回答
2021年06月03日賃借人に連絡、必要書類等を強く要請
2021年06月24日賃借人から必要書類等を受領
陸運局にて車両の登録事項を照会
2021年07月02日車両撤去業者手配・打合せ
2021年07月09日費用負担なく車両撤去完了

経過

 賃借人はアパート自体の家賃滞納はなく、駐車場代の滞納と、放置車両のみが残る状況でした。
 車両はナンバーもあり、外観上大きな不具合は見当たりませんでしたが、遠方に転居したことから放置が続いたようです。
  賃貸人からの連絡には応答せず、3年以上で滞納額が20万円まで膨らんでいたため、ご相談、ご依頼となりました。

当事務所の対応

 ご依頼後、内容証明を送り、催告及び契約解除の通知をしました。
 反応なく入金期限を経過したため、即提訴し、相手が初回裁判に欠席したため1週間後に判決が出されました。
 その後、駐車場に空きがあり、駐車場代も低廉な地域であって急ぐ理由がなかったこと、車両にローン等の残がなく所有権が契約者にあったこと、車両に価値がなく差押等の対象とならなかったこと、一応は契約者の所在と連絡先が判明したことなどから、交渉により処分の承諾を得て処分する方針をとりました。
 承諾のための書類の返送に時間を要したものの、書類の返送を受けてからは速やかに民間の車両処分業者を利用して撤去が完了しました。

ポイント

 放置車両についての相談も比較的多くうけることがあります。これが一般の道路等であれば、警察に相談し、レッカー等による撤去を進めることもあります。
 しかし、私有地である駐車場の場合、警察は対応しないため、家主が民事手続で撤去を行うことになります。このとき、法的手続きを経ずに勝手に撤去・処分をすると、原則として違法な対応となり、後日、所有者から責任追及を受ける恐れがあります。
 したがって、交渉して撤去や処分の承諾を求めるほか、訴訟や仮処分、執行手続等により撤去を進めることになります。
 前述の通り、どのような手続きをとるべきかは、諸条件により異なりますので、まずは弁護士にご相談いただければと思います。
 ご相談の際には、放置車両の写真は複数の方向から撮影し、ナンバーや敷地全体の写真もご準備ください。

弁護士の活動・費用

解決までの期間明渡しまで相談から17ヶ月
※途中コロナウイルスによる5ヶ月程度の手続遅延あり
弁護士費用170,500円
(内容証明5,500円、訴訟着手金5.5万円、明渡報酬11万円)
実費35,730円
※撤去・処分費用を含む

建物明渡しと同時に車両撤去も行った例

2022-11-28

概要

 本件の物件は町田市郊外のアパートの、50平米の部屋の家賃滞納の事例です。
 家主が自ら管理し、ひごろは比較的トラブルの少ない物件でした。建物の前面には、平置きの駐車スペースがあり、各部屋に1台ずつが割り当てられていました。
 しかし、本件の借家人は家賃を滞納し、さらには駐車スペースにタイヤも外れた故障車を放置していました。故障車を放置しながら、別の車を路上駐車するなどの迷惑行為に及んでいたため、近隣から苦情が来ていました。
 滞納及び迷惑行為を理由として、退去をさせるべく、ご依頼となりました。 

賃貸借契約

地域東京都町田市
家賃70,000円/月
状況16万円滞納(更新料の滞納含む)。
借家人とは連絡取れず。
滞納確認後、保証人に連絡すると、借家人ではなく保証人が支払ってくる状況
駐車場に故障車両を放置。他の利用車両は路上駐車。
備考連帯保証人(賃借人のおじ)
保証人も何度も連絡しないとつながらない。

経緯

2020年07月末3ヶ月分の滞納分のうち2ヶ月分のみ支払がある
2020年08月04日ご相談・ご検討
2020年08月26日明渡しについてご契約
2020年09月07日借家人に内容証明郵便を発送(催告)
提訴準備(印紙発注・切手準備・訴状等作成・証拠書類等準備・住民票等確認)
2020年09月29日一部入金あり
2020年10月28日東京地裁立川支部に借家人・連帯保証人ともに提訴
2020年11月01日一部入金あり
その後、借家人に対する訴状が不送達との連絡を受ける。
2020年12月11日現地調査
書留郵便に付する送達申請
2020年12月17日第一回口頭弁論期日(両者不出頭。保証人は答弁書提出)
2021年01月06日第二回口頭弁論期日(両者不出頭)
結審
2021年01月14日判決言渡し
2021年01月27日東京地裁立川支部執行官室に強制執行申立て
2021年02月12日強制執行期日(催告)
借家人本人在宅・立会い。3/16の断行までの任意退去を要請する(口頭)
2021年03月14日執行補助業者が訪問も借家人不在
明渡し準備の様子もなく、連絡もとれず
2021年03月16日強制執行期日(断行)
現地にて退去立会。合鍵の回収・所有権放棄書の受領。
放置車両の撤去及び建物明渡し完了

経過

 借家人は6年ほど前から入居していました。相談に起こしの前は、2ヶ月ほど滞納したところで借家人・保証人両名に連絡を何度かとってようやく保証人が支払ってくる、といった状況が続いており、家主管理の負担が増大していました。
 駐車スペースには、明らかに自走不能の故障車が放置され周囲には工具や部品が乱雑に置かれていました。
 物件前の道路に路上駐車をし続け、近隣住民からのクレームも入るようになりました。 滞納額こそ多額ではないものの、借家人本人は支払わず、迷惑行為を含めて対応しないため、ご依頼となりました。

当事務所の対応

車両撤去中の様子

 催告・解除の内容証明には応答はありませんでしたが、ほどなく借家人名義での入金がありました。 もっとも、なお滞納残額があり、かつ迷惑行為は是正されなかったため、即時、裁判所あてに提訴しました。
 裁判書類についても、受領しませんでしたが、各種メータや部屋の様子から、利用を継続していることは明らかでした。
  裁判中にも一部入金がありましたが、すでに法的に解除が有効な状況となっており、期日には借家人・保証人とも出頭しなかったこともあり、提訴後2か月余りで明渡しを命ずる判決が出ました。
 その後、すぐに明渡しの強制執行を申立てました。
 執行官が現地に臨場した際は、借家人本人がいましたので、退去を求めましたが、結局退去せず、断行による明渡しとなりました。
 

ポイント

 本件は、滞納が継続して連絡も取れず、裁判で明渡しを実現する、という点では一般的な事例です。
 特徴は、駐車場に自走できない自動車が放置されていたために、その明渡しの強制執行を行ったという点です。
 裁判を起こす際に、駐車場についても状況を把握し、強制執行となる場合に備えて手続を取ることで、期間も、余分に要することなく、解決することができます。
 ひとえに滞納案件といっても、物件や入居者、また経緯により状況は様々ですので、事案に適した手続を選び、滞りなく進めることで、早期解決につながります。
 お困りのことがあれば、まずはご相談いただき、最適な解決方法の提案を受けて、検討していただければと思います。

弁護士の活動・費用

解決までの期間明渡しまで相談から6ヶ月
回収金額140,000円
弁護士費用451,000円
(内容証明1.1万円、訴訟着手11万円、明渡着手11万円、明渡報酬22万円)
実費353,196円
(実費48,397円、強制執行費用86,999円、撤去・処分費用217,800円)
※撤去・処分費用は車両撤去費用を含みます。

裁判と同時に退去交渉を行い、全額の回収を断念する代わりに早期退去を実現した事例

2022-11-10

概要

 本件は千葉市中央区道場の国道51号線沿いの住宅街に建つマンションの1室の事例です。
借家人は1982年(約40年前)から、この部屋を利用していました。借家人の兄が連帯保証人でしたが、その兄は2006年に死亡し、妻と2人の子が相続人でした。
 2000年ころから滞納が始まり、2012年には、家賃52000円のうち、40000円のみ支払う状態となり、さらに金額は減っていきました。
 家主はご自身で内容証明等の督促はしていたものの、神奈川県内に住んでいたこともあり、滞納額が150万円を超えるまで、明渡しには至らないままでした。これ以上の放置はできないということでご依頼となりました。このとき、滞納額は29ヶ月分に及んでいました。

賃貸借契約

地域千葉市中央区
家賃52,000円(152万円・約29ヶ月分滞納)
状況7~8年前から勝手に徐々に減額(5.2万→4.6万→4万→3万)
固定資産税が支払えなくなりそうな水準に
備考連帯保証人は借家人の実兄もすでに故人
滞納開始から何も連絡せず

経緯

2012年ころ家賃の支払いを一方的に減額してくる
2019年06月05日最初の相談
明渡しまたは減額賃料での賃貸借契約更改の検討
2020年04月27日再度のご来所・ご相談・ご依頼
2020年04月30日借家人に内容証明郵便を発送(催告及び解除通知)
連帯保証人の相続人調査
提訴準備(印紙発注・切手準備・訴状等作成・証拠書類等準備・住民票等確認)
2020年05月28日保証人の相続人判明
相続人に対して請求書を発送も、反応なし
2020年06月03日横浜地裁川崎支部に提訴(借家人及び保証人の相続人3名)
2020年08月21日借家人らの代理人弁護士から連絡あり
具体的な交渉開始
2020年08月26日第一回口頭弁論期日(不出頭)
2020年10月22日第二回口頭弁論期日(借家人ら代理人が出頭)
2020年12月08日任意退去
明渡し完了
2020年12月14日合意書及び解決金の受領
訴訟取下げ

対応結果

 催告・解除の内容証明には応答がなく、速やかに提訴しました。
 すると、借家人は数年前から入退院を繰り返し、貯金も底をついたため生活保護の申請をしている、とのことでした。
  本件では、一応は契約書に連帯保証人に実兄の名があります。
 しかし、連帯保証人の署名の筆跡が借家人のそれと酷似しており、認印も借家人と連帯保証人で同一でした。当然ながら、連帯保証人の印鑑証明書もありません。
 したがって、借家人が、兄の名を保証人欄に勝手に記載した可能性が相当程度あり、裁判では保証人の相続人への請求は困難な状況でした。
 明渡義務が明らかな中、金銭請求の争いで裁判が長期化すると、結局、家主の損害が拡大します。
 そこで、滞納分の回収を断念して早期退去を追及する方針としました。
 裁判は継続したまま、任意に退去を完了してもらい、その後、滞納額の一部の支払いと引き換えに裁判を取り下げることを合意しました。

ポイント

 本件のポイントは2点あります。
 第一に、借家人の資力(財産)が乏しい場合に、金銭的回収に拘る余り退去が遅れると、損害が拡大してしまいます。したがって、そうした場合は早期退去を最優先とすべきです。
 第二に、保証人による支払いは、滞納家賃の回収としては最も有効な形ですが、それも保証人による保証がその意思に基づくものであり、かつ保証人に資力がある場合に限られます。
 本件のように、勝手に署名した、という可能性を否定できない場合や、保証人が無資力である場合には、家賃回収は困難となります。
 訴訟を2名に対して行うことは、1名の場合に比べ手続が増えるデメリットがあります(管轄などでメリットとなる場合もあります。)。事案によっては、保証人への請求をあえてせずに、賃借人のみを相手取って訴訟を起こすことが適切な場合もあります。
 早期解決や回収の実効性には、専門的な判断、検討が不可欠です。お困りの場合は、まずは専門家である弁護士にご相談下さい。

弁護士の活動・費用

解決までの期間明渡しまで相談から7ヶ月
回収額100,000円(解決金のみ)
弁護士費用363,000円
(内容証明1.1万円、訴訟着手11万円、明渡報酬22万円、回収額の22%)
実費43,763円

滞納分の分割払いを合意したものの、滞納が継続し、退去に至った事例

2022-11-04

概要

 本件は、北海道函館市の賃貸住宅の事例です。家主は東京近郊に在住し、函館市内に所有する建物を住居として貸していました。
 借家人が家賃を滞納し、一度は家主との間で滞納家賃の分割払いの合意に至りました。
 しかし、結局は再び滞納が始まり、契約解除及び明渡しに至った事例です。

賃貸借契約

地域北海道函館市
家賃35,000円
状況36万円未納(9ヶ月分)
備考連帯保証人(賃借人の妹。ただし見るべき資産なし)

経緯

2020年01月末家賃の支払が遅れ始める
2020年10月04日他の法律事務所にて弁護士介在の下、滞納額等の確認書を取得
(返済計画などの詳細な取り決めがなく、結果的に支払も反応もなし)
2020年10月22日ご相談
回収・明渡しについてご契約
2020年10月30日借家人及び連帯保証人に内容証明郵便を発送(催告)
提訴準備(印紙発注・切手準備・訴状等作成・証拠書類等準備・住民票等確認)
2020年11月06日函館地裁に借家人・連帯保証人ともに提訴
2020年12月08日借家人から答弁書提出
滞納分について認め、毎月1万円以上を家賃に上乗せして支払う旨の和解案あり
2021年01月13日第一回口頭弁論期日(両者出頭)
和解成立
(1度の滞納で解除する条項。なお、入居は継続。もっとも賃貸借契約は見直し)
2021年02月18日定期借家賃貸借契約を締結
2021年04月06日滞納を確認。借家人に問合せたところすぐに入金あり
2021年05月19日再び滞納を確認(2ヶ月連続)
内容証明にて解除通知
2021年06月04日函館地裁執行官室に強制執行申立て
2021年06月28日強制執行期日(催告)
借家人本人立会い。7/21の断行までの任意退去を要請する(口頭)
2021年07月20日借家人から家財道具ほか一式撤去後の室内写真の提供あり
強制執行の取下げ→任意退去
2021年07月21日現地にて退去立会。合鍵の回収・所有権放棄書の受領。明渡し完了

経過

 物件の所在地が、賃貸需要の必ずしも大きくない地域であったため、家主は空室となるよりは、家賃支払があった方がよいという考えで、多少の滞納には寛容でした。
 そのような中で、滞納額が増額していきました。
 一度、ほかの事務所の弁護士により、滞納分の分割払いの合意に至りましたが、結局、毎月の家賃も十分には払われず、連絡が途絶えてしまいました。そこで、当事務所への相談となりました。

当事務所の対応(裁判)

 ご依頼後、すぐに全額を求めて内容証明郵便を送付し、入金期限後に提訴しました。
内容証明には反応がなかったものの、裁判所に提出された答弁書には、滞納分について認め、毎月1万円以上を上乗せして支払う旨の記載がありました。
 経験上、入居者から滞納分の分割支払を提案されて合意しても、約束通り払われることはありません。少なくとも滞納に至った理由が解消していなければ、分割支払はほぼ100%滞ることとなります。これは裁判前の交渉でも裁判中の和解でも同じです。
 本件でも家主にその旨説明しましたが、家主は「これまで無反応だった借家人が提案してきたことだから」と借家人の意思を尊重し、借家人の分割支払を受け入れる和解をすることになりました。
 和解においては、家賃又は分割支払のどちらかでも一度でも滞った場合は、裁判せずに強制明渡しとなる文言を入れました。

分割金の滞納と退去

 果たせるかな、和解から3ヶ月後、滞納が生じました。
 借家人に連絡するとすぐに支払ってきましたが、結局、翌月も滞納したことから、さすがの家主も継続を断念し、明渡しを求める方針となりました。
 この期に及んで連絡がたまにつかないなど、不確定な要素があったため、明渡しの強制執行手続により、退去が実現しました。

ポイント

 家賃は、生活費の中でも、一般的に優先順位の高い支出です。
 これを滞納するということは、生活上、収支のバランスが崩れていることがほとんどです。したがって、毎月の家賃すら払えない人が、家賃に少額でも分割金を上乗せして払うことはまずできません。
 家主としては、未納分をなんとしても回収したい、空室にしたくない、などの理由で、分割払いの合意に期待したくなります。
 しかし、結局は滞納額の増大により損害が拡大するだけの結果に終わります。
 他に空室があって退去させるメリットがない、などの特別な場合を除き、滞納分を分割払いにする合意は望ましくないことが多いです。不安な方は、是非一度ご相談ください。

撤去前の状況
撤去後の様子

弁護士の活動・費用

解決までの期間明渡しまで相談から8ヶ月(和解までは2ヶ月)
回収金額0円(明渡しのみ)
弁護士費用517,000円
(内容証明1.1万円×2、訴訟着手11万円、明渡着手11万円、明渡報酬22万円、賃貸借契約書作成・立会5.5万円)
実費201,857円
(実費143,183円、強制執行費用(取下げまで)58,674円)
※強制執行(断行)の業者費用の見積もりは撤去・処分費用を除き105,380円でした。

訴訟提起しつつ交渉を行い、相談翌月の退去を実現した事例

2022-11-04

概要

 本件は、杉並区の閑静な住宅街にあるマンションの1室です。
 入居者は70代の女性とその息子の2人で、マンションには50年前から継続して入居しており、途中でマンション内で部屋を替わるなどしていました。
 長期にわたる入居者であったため、家主との関係も深く、多少の滞納や契約違反があっても、短期間で解消するなどしていました。
 ところが、7ヶ月分ほど滞納額が増大し、解消の見込が立たなかったことから、ご相談に見えました。
 速やかに督促しつつ解除の通知を送り、粛々と手続を取って明渡しを実現しました。
 

賃貸借契約

地域杉並区
家賃78,000円(約7ヶ月分滞納)
状況支払も具体的計画もなし
備考70代女性と、その息子(40代)が入居

経緯

2019年05月末家賃の支払が遅れ始める
2021年06月03日ご来所・ご相談・ご依頼
2021年06月08日借家人に内容証明郵便を発送(催告及び解除通知)
→6/10に同居人の息子から一部支払う旨の連絡あり
提訴準備(印紙発注・切手準備・訴状等作成・証拠書類等準備・住民票等確認)
2021年06月12日一部入金を確認
2021年06月15日一部入金を確認(上記入金と合わせて合計1ヶ月分)
東京地裁に提訴
2021年07月31日任意退去
明渡し完了
2021年08月13日第一回口頭弁論期日(息子のみ出廷)※明渡請求部分を取り下げ(減縮)
2021年09月29日第二回口頭弁論期日(同上。結審)
2021年10月26日判決言渡し

対応結果

 借家人が高齢だったことから、事実上、同居人の息子が、裁判・交渉の対応をしました。催告及び解除通知書については、内容を理解し、退去もやむなしと考えたようです。
 訴訟外で協議し、任意退去が完了しました。並行している裁判では、裁判所に対して明渡請求部分を取下げるかたちで、請求を金銭債権に限定しました。その後、金銭債権についてのみ判決が出ました。

ポイント

 本件のように、明渡しの理由(家賃滞納)が明らかな場合で、借家人と協議が可能な場合は、訴訟の判決を待たずに早々に任意退去してもらうことが、最も迅速な解決につながります。
 連絡を取りづらい入居者であっても、弁護士からの連絡や、裁判と並行して行う協議には応じることがあります。
 当事務所では、迅速な訴訟提起を主たる方針としておりますが、訴訟を切り札としつつ、協議が可能な相手に対しては、並行して訴訟外の協議も行います。物件の立地によっては、直接の訪問を行うこともあります。
 訴訟を主軸として、交渉・協議も適宜行うことで、できる限り、速やかに退去・支払を実現できるように努めています。

弁護士の活動・費用

解決までの期間明渡しまで相談から1ヶ月
回収額78,000円(1ヶ月分)
弁護士費用358,160円
(内容証明1.1万円、訴訟着手11万円、明渡報酬22万円、回収額の22%)
実費21,459円

音信不通の借家人の明渡し例

2022-10-28

概要

 本件は、練馬区内の駅前マンションの例です。
 借家人は家主の知人で、契約内容について口約束だけで契約書はありませんでした。賃料は初めの1ヶ月分のみ支払いがあり、その後は1年以上、支払いがありませんでした。家主は、第一に明渡しをご希望でした。
 電話・メール・手紙にも応答はなく、直接の訪問でも何の応答も反応もありません。カーテンもいつも閉まっていました。
 当初不在かと思われたものの、現地調査の結果、夜間の灯りから居住が確認でき、訴訟を経て、無事明渡しにいたった事例です。

賃貸借契約

地域練馬区
家賃40,000円(1年4ヶ月分滞納)
状況電話・メール・手紙・直接訪問も応答なし
備考借家人は元交際相手。契約書等なし

経緯

2020年04月末家賃の支払がわずか1回のみでなされなくなる。
2021年10月18日ご相談・ご依頼(オンライン面談)
2021年10月20日借家人に内容証明郵便を発送(催告及び解除通知)
提訴準備(印紙発注・切手準備・訴状等作成・証拠書類等準備・住民票等確認)
2021年10月26日東京地裁に提訴
2021年10月27日現地訪問(不在)
2021年11月22日裁判所から訴状不送達の連絡あり
住民票上の住所が異なっていたため、住民票住所への送達をお願いする
2021年12月06日裁判所から訴状不送達の連絡あり
借家の現地調査を命じられる
2021年12月14日現地訪問・調査(訪問に応答ないものの、照明の点灯を確認)
調査報告とともに付郵便送達の方法を裁判所に上申
2022年01月14日第一回口頭弁論期日(不出頭。結審)
2022年01月21日判決言渡し
明渡しの強制執行申立ての準備開始(申立書等作成など)
2022年02月07日東京地裁執行官室宛てに明渡し強制執行申立て
2022年02月28日1回目の強制執行(催告期日。不在も、生活の痕跡あり)
2022年03月17日現地訪問(おそらく在室するも応答なし)
2022年03月24日現地訪問(おそらく在室するも応答なし)
訪問前に照明点灯を確認。訪問時は室内から物音あり。訪問後は消灯を確認
2022年03月28日2回目の強制執行(断行期日)。借家人から突然電話があり、「コロナに罹患した者がいる」などとするも、明渡し実施。明渡し完了
2022年03月31日借家人から家主に対して直接の入金を確認

経過

 弁護士による数回の現地訪問にもかかわらず、結局、訴訟終了まで連絡が取れませんでした。
 しかし、在室が推測できたため、裁判は速やかに進行しました(通常よりも1ヶ月程度長めにかかりました)。
 強制執行も粛々と行ったところ、居座っていた借家人は「海外から戻ってきたばかりで成田近辺にいるため今日は行けない」「今借家にいる同居人はコロナ感染者だ」などと述べていましたが、根拠も薄弱であったため、明渡し実施には影響ありませんでした。実際に借家人のみが在室したことから、虚偽の言い分であったと思われます。
 退去と前後して、借家人からは100万円を回収しました。

ポイント

 本件のように、居留守などで借家人の対応が見込めない場合や、実際に夜逃げ等により行方が判らない場合であっても、裁判も強制執行も可能です。
 もっとも、書類の送付や意思表示(通知)上の問題が生じる場合もあり、十分な知識・準備がないと、必要以上に時間を要することがあります。その場合、滞納額も膨らみ、回収が難しい相手の場合は損害の拡大につながります。
 早期解決のためには、滞納額が大きくなる前(遅くとも2ヶ月滞納時)には、ご相談頂くことをお勧めします。

弁護士の活動・費用

解決までの期間明渡しまで相談から5ヶ月(回収もほぼ同時)
回収金額1,000,000円(滞納分は全額回収)
弁護士費用671,000円
(内容証明1.1万円、訴訟着手・明渡着手各11万円、明渡報酬22万円、回収額の22%)
実費627,713円
(実費42,278円、明渡申立費用66,090円、強制執行費用519,345円(補助業者への撤去作業・保管・処分費用を含む))

連帯保証人の所有不動産を差押えて、滞納家賃等の全額を回収した事例

2022-10-07

概要

 本件は、東京都との県境に近い、埼玉県和光市の住宅街にある戸建ての事例です。
 家主は離れた土地に住んでいましたが、東京によくお見えということで当事務所にご相談いただきました。
 入居者は中年男性で、一人暮らしでした。連帯保証人は、入居者の伯母様でした。
 コロナ禍もあって収入が減り、体調も崩して失職してしまいました。
 そこで、家主は家賃を減額するなどして応じました。入居者は何度か就職するも、短期間で終了してしまうなどの状態で、結局は滞納家賃を支払えず、連絡も取りにくくなりました。 

賃貸借契約

地域埼玉県和光市
家賃75,000円(途中で47,700円に減額)
状況1,080,000円滞納(約1年分)
備考連帯保証人(おば)あり。所有不動産あり

経緯

2018年03月末家賃の支払が遅れ始める
2021年11月29日ご来所・ご相談・ご依頼
2021年12月01日借家人及び連帯保証人それぞれに内容証明郵便を発送(催告及び解除通知)
提訴準備(印紙発注・切手準備・訴状等作成・証拠書類等準備・住民票等確認)
2021年12月09日さいたま地裁に借家人及び保証人両名を提訴
2021年12月28日借家人から滞納金の一部入金あり
2022年01月21日第一回口頭弁論期日(借家人のみ出頭。結審)
2022年01月28日判決言渡し
2022年02月28日借家人から滞納金の一部入金あり
2022年03月03日さいたま地裁執行官室宛てに明渡し強制執行申立て
保証人に対する不動産競売申立ての準備開始
(切手等準備・申立書等作成・添付書類等準備・送達証明取得・執行文付与など)
2022年03月17日1回目の強制執行(催告期日)
2022年03月30日東京地裁立川支部に不動産強制競売申立て
2022年04月13日2回目の強制執行(断行期日)
明渡し完了
執行費用額・訴訟費用額確定処分申立ての準備開始
(切手等準備・申立書等作成・領収書その他添付資料準備)
2022年04月27日さいたま地裁に強制執行の執行費用額確定処分申立て
2022年05月17日保証人の親族から入金を確認
全額回収
競売取下げ

対応結果

 滞納は1年分以上になっていたことから、すぐに裁判所に提訴しました。相手は借家人と連帯保証人の連名です。
 なお、借家人は破産申立をする予定として、破産についての代理人弁護士も就任していました。もっとも、破産があったとしても、保証人からの回収という方針について特に影響はありませんでした。 

 裁判には借家人本人が出席しましたが、滞納の事実に争いはなく、1回で結審し、翌週には判決が言い渡されました。
 判決をもとに、借家人には明渡しの強制執行を、保証人には自宅マンションを差押えを行いました。 
 明渡しにおいては、大量の雑誌や書籍類(コレクション)があるなどして多少時間はかかりましたが、無事、半日程度で完了しました。また、支払についても、連帯保証人側から全額の支払いを提案され、滞納分の他、遅延損害金や費用も含め、全ての支払をうけることができました。

ポイント

 本件のように、家主の厚意により減額や猶予をしても、なかなか滞納の状況が改善されない場合も多くあります。
 早期に法的措置を執ることで、支払猶予をするとしても、仮に途中で支払が予定通りに行われなかった場合の退去手続が速やかにできる、というメリットが生まれます。
 少しでも不安な場合は、たとえ猶予や減額の方針があっても、一度ご相談頂くことをお勧めします。

弁護士の活動・費用

解決までの期間明渡しまで相談から4ヶ月、全額回収まで相談から5ヶ月
回収金額2,393,763円(全額回収)
弁護士費用1,087,627円
(内容証明1.1万円、訴訟着手・明渡着手各11万円、明渡報酬22万円、競売着手11万円、回収額の22%)
実費291,628円
(実費37,651円、明渡申立費用67,884円、競売申立費用186,093円)
※別途、強制執行費用515,020円(補助業者への撤去作業・保管・処分費用)

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