賃貸借契約の更新

更新とは

 賃貸借契約の更新とは、期間が満了した際に、同等の契約関係を継続することです。
 契約には、売買契約や請負契約など、一回で終わる形の契約と、賃貸借契約や業務委託契約など、関係が継続する形の契約があります。

 後者の継続する形の契約は、定められた期間が満了しても、同等の関係を継続することを当事者が望む場合もあり、そうした場合は契約を更新することになります。
 更新には、合意更新・自動更新・法定更新などの種類があります。

合意更新

 合意更新とは、双方が更新することを合意してなされるもので、最も一般的です。

 賃貸借契約の期間満了のたびに、更新契約書に署名捺印をするのが、合意更新です。

 内容は従前と同条件とすることが多く、期間の長さも同様とすることが多いです。ただし、双方の合意によるものですので、内容を変更することも可能です。家賃の減額であったり、利用条件の変更であったり、双方で合意に至れば、契約の規定は自由に変更できます。

自動更新

 契約書の中に「双方から反対の意思が表示されない場合は、同じ条件で更新するものとみなす」というような条項が入っている場合があります。これは広い意味では、合意による更新の一種ですが、何もしなくても更新されるという点では後述の法定更新と似ています。

 法定更新との違いは、更新後の契約にも期間が定められることです。自動更新と法定更新とを比較した場合に自動更新が借家人に不利益とはいえないので、自動更新条項も有効とされています。

法定更新

 法定更新とは、当事者の更新の合意はないけれども、法律上更新されるというものです。

 建物の賃貸借契約で、何もせずに契約期間が満了した場合でも、契約は継続します。自動更新条項がなくてもです。これを法定更新といいます。

 法定更新では、ほとんど全ての契約条件が引き継がれますが、契約期間のみは引き継がれません。期間の定めのない契約になってしまうのです(借地借家法26条1項ただし書)。

 期間の定めがないと聞くと、一般の方の中には「ずっと契約が続く」と肯定的に捉える方がいるかもしれませんが、そうではありません。期間の定めがないと、家主からはいつでも解約の申入れができるため、期間の定めがある場合に比べて、家主から契約終了をさせる機会が増えます。

法定更新をしないための手続

 何もしないと法定更新となってしまうため、家主が期間満了と共に契約を終了させたい場合は、積極的に手続を取る必要があります。

 必要な手続は2つです。一つは、期間満了の半年前までに更新しないとの通知を行うこと。もう一つは期間満了後に相手がまだ利用していた場合、速やかに異議を述べること、です(借地借家法26条1項・2項)。

 このように手続を取ったうえで、かつ更新拒絶のための正当な事由が必要です(借地借家法28条)。

 手続においても理由においても、家主に求められる水準は高く、見方を変えれば、借家人が非常に手厚く、建物の利用継続の権利を保障されている、ということができます。

更新料

 更新の際に更新料の支払をすべき、とする契約は一般的です。首都圏では家賃1ヶ月分の更新料という定め方が多いように思います。

 更新料の定め自体は有効とされています。

 なお、合意更新や自動更新の際に、更新料の支払義務を規定していたとしても、法定更新の際にも更新料の支払義務が肯定できるとは限りません。

 契約書の記載にもよりますが、裁判例によっては、法定更新の場合には更新料の支払義務はないとしたものもあります。

 さらにいえば、法定更新となった場合、その後は期間の定めがなくなります。そうすると、更新自体がなくなるため、理屈としては、当初の法定更新のときはともかく、その後の更新時期の更新料の支払義務がなくなると考えることができます。

 借家人の中には、そうした解釈ができることをいいことに、ある時点から法定更新となったと主張してその後の更新料の支払を拒む者がいます。
 これに対しては、双方が契約の継続を企図している以上、更新の黙示の合意があったとして、合意更新を主張することもできるかもしれません。いずれにしても自動更新条項を入れておくのがよいと思われます。

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