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賃貸借契約の違約条項

2022-06-24

定型の契約書

 賃貸借契約を結ぶ場合、多くは不動産業者の用意した契約書をそのまま利用すると思います。

 あるいは、自ら準備する場合であっても、書店等で購入可能な定型の書式を利用することはあっても、自分で全部作成する方はほとんどいないでしょう。

 定型の書式等での契約は、過不足なく記載があり安心ですが、必ずしも賃貸人に有利な条項ばかりではありません。内容もよく確認する必要があります。

賃貸人が是非とも入れたい違約条項

 賃貸人として、入れておきたい違約条項は次の通りです。

  • 賃料等の遅延損害金は年14.6%にする
  • 契約終了後の明渡遅延については、賃料倍額の損害金とする

 これらは、いずれも有効と考えられており、家賃滞納や契約違反、そして契約解除後の明渡しに際して、非常に効果的な条項です。

賃料等の遅延損害金は年14.6%

 本来、特に利率を定めない場合、遅延損害金は民法の法定利率に従いますので、年3%となります。それでも昨今の低金利の世の中では高い方ですが、これを14.6%とすれば、相手に対するプレッシャーとなります。

 なお、消費者契約法において、消費者が相手の場合は年14.6%を超える損害金の定めは、その超過部分が無効とされています(消費者契約法9条2項)。

 入居者が消費者に当たらない場合(法人や団体、あるいは個人事業者)であれば、年14.6%を越える定めも有効ですが、少なくとも年14.6%に設定しておくのがよいでしょう。

 なお、年利14.6%というのは、日歩4銭(1日当たり100円に対し0.04円→365日で14.6円)が由来のようです。

明渡遅延の場合は賃料倍額の損害金

 賃貸借契約書のうち、約半数くらいの印象ですが、契約が終了した後に明け渡さない場合、ペナルティとして賃料の倍額の損害金を支払う義務がある、とする条項があります。

 この条項は、賃貸借契約書の条項の中でも非常に重要な条項の一つです。

 内容は簡単で、契約が終了しても明け渡さなければ、家賃の倍の支払を求めるものです。具体的には、家賃が6万円の物件であれば、契約終了後に退去が遅れた場合、毎月12万円を支払うことになります。
 家賃滞納のみならず、契約違反等でも適用されます。消費者契約法上、問題ないかという点はこれまで裁判でも争われていますが、裁判所の判断としては、倍額程度であれば問題ない(有効)とするものが多いです。

 実際、明渡義務があるのに従わない相手を追い出すためには、家主は相当の労力を強いられます。
 弁護士費用もそうですし、訴訟、強制執行の実費も、時に数十万円になります。

 そこで、高額の損害金の定めにより、相手に早期退去を促すことができますし、弁護士費用などの法的には請求が難しい費用についてカバーすることが可能です。
 相手に資力がなければ回収が難しい場合もありますが、連帯保証人等からの回収の可能性もあります。こうした違約条項は、入れておくと、いざというときに非常に効果的です。

その他の条項

 賃貸借契約書においては、上記の違約条項の他にも、是非、検討したいものとして、自動更新条項、緊急時の立入りの条項、解約予告期間の定め、合意管轄の条項、クリーニング費用の特約などがあり、必要に応じて内容を吟味することをお勧めします。

賃貸借契約の無催告解除特約

2022-06-23

特約

 賃貸借などの契約を締結する場合、その契約の一般的なルールとは異なる約束をすることがあります。そうした特別な約束を特約といい、契約書の最後に特約一覧の形でまとめる場合もありますし、契約書の関連箇所を修正したり、追加したりする場合もあります。

 どのような約束をするかは基本的には自由ですので、双方の合意さえあれば、契約にどのような特約を付けてもかまいません。

 しかし、契約の種類によっては、特約は何でもよいということではなく、一定の制限がかかっている場合があります。不動産賃貸借も、その特殊性から、特約には制限が課せられています。法律で明確に定められた制限もありますし、明文では規制がなくても、裁判例などから解釈上、制限されていると考えられるものもあります。

解除の原則(民法)

 契約を解除方法は、法律で定められています。一般的なやり方は、民法541条の「催告による解除」というものです。

 これは、相手が契約上の義務を履行しない場合に、「相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときに」解除ができるというものです。

 不動産賃貸における家賃支払の場合で考えると、滞納が生じた後に「○月○日までに支払ってください」と伝えて、その期限が過ぎたら解除できるということです。一度は催告(催促)して支払のチャンスを与える必要があるということです。 

無催告解除特約

 無催告解除特約、と呼ばれる特約があります。これは読んで字のごとく、「催告なしで解除できるという特別な約束」です。

第○条 賃借人が、賃料の支払を2ヶ月分以上怠った場合、賃貸人は何等の通知催告を要せず、本契約を解除することができる。

 民法では通常は催告をして相当期間(5日とか1週間とか)の経過後でなければ解除できませんが、その催告を要しないということです。

 不動産賃貸の家賃支払義務をこれに当てはめると、家賃が遅れているときに、「契約は解除しました、出ていってください」とすることができるという特約です。本来なら必要な「家賃が遅れていますよ、○月○日までに必ず払ってくださいね」という催告が要らないということです。

不動産賃貸借における無催告解除特約の有効性

 特約の有効性を考える場合、大きく3つがあります。①有効、②有効だが解釈上あるいは適用上の制限を受ける、③無効。

 ①有効な場合は、そのまま適用すればよいです。③無効な場合というのは、他の法令や公序良俗に反しているなどの理由で、その特約の効力を認めないので、特約がないことと同じです。

 そして、不動産賃貸借における無催告特約は上記の②に当たります。
 判例によると、「催告をしなくても不合理とは認められない事情がある場合」に限って無催告解除ができる特約、として有効とされています(最判S43.11.21民集22.12.2741)。
 わかったようでわからない表現です。こうしたトートロジカルな表現を裁判所はよく使いますが、結局は経緯(滞納の金額や期間、その他の契約違反の有無、連絡状況など)を総合的に判断して、解除の有効性を決める、ということです。

 結果的に、いざ裁判になった場合に解除の有効性が裁判所の判断に委ねられては困りますので、特約の存否に関わらず、催告が可能な場合は催告を行っておく、というのが現実的な対応となります。

 

賃貸借契約とは

2022-06-22

 不動産の賃貸借契約、名前を知らない人はほとんどいないと思いますが、あらためてどんな契約か、おさらいしてみます。

賃貸借契約

 賃貸借契約は、有償で目的物を使わせる契約です。
 典型的な契約は、基本的な法律である民法に載っています。誰でも身近に関わる、売買や雇用、請負などですが、賃貸借もそうした典型的な契約の一つです。

 民法上、賃貸借契約は「当事者の一方がある物の使用収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約する」ものです。
 不動産の場合は、家主は「使用収益をさせる」義務があり、借主は「賃料(家賃)を支払う」義務と、最後に「返還する」義務があるのです。

民法と借地借家法

 賃貸借契約は基本的で重要な契約ですので、上記の通り、民法に規定があります。しかし、民法の規定は不動産のみならず、様々な目的物の貸し借り(レンタル)に当てはまるものです。内容も様々な賃貸借の全てに当てはまるように定められています。

 そこで、土地の(特に建物所有目的)賃貸借や、建物の賃貸借のために、定められている別の法律があり、それが借地借家法です。

 借地借家法は賃貸借の中でも土地や建物の場合に特化していますので、民法にはない特別なルールも定められています。民法と借地借家法の内容が異なる場合は、より狭い範囲(不動産)にのみ適用される借地借家法が優先します。

 借地借家法には、期間についての規定や、更新しない場合の「正当事由」の規定、一定の場合の借主に不利な契約内容の有効性、特殊な裁判手続、など、建物等の賃貸借契約にとって重要な規定が多く定められています。

借家(イメージ)

その他の法律

 建物の賃貸借をめぐっては、この他にも、消費者契約法やマンションの区分所有法、宅地建物取引業法などの他の法律も関係することがあり、それぞれの法律や関連法令を確認する必要があります。

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